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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   これまでの美しい国   うっちー

 最近ではマスコミを通じてカタカナ言葉に接する機会が増えている。きちんとした日本語訳ができるにもかかわらずあえて漢字を使ったりしなくなったのはその響きに新鮮味を感じるからだろう。日本史を振り返ってみると、日本は歴代の中国の王朝を始めとして多くの国々と交流し、多くの思想や文化を受け入れてきた。その当時の先進国であった中国から広まった思想はどれもが違和感無く日本に馴染み、日本の文化をいっそう深いものにしてきた。しかし、明治の文明開化以後は欧米の考え方や技術を上手に真似ることだけしか見えなくなっており、日本人の考え方の根っこにある部分を無視してしまっている。日本人が昔の日本人らしさを失ってしまっているのは問題だ。その原因は二つある。
 第一の原因は明治初期の日本人にとってそこで遭遇した異文化は、今までの自分たちの考え方とは全く接点が無く完全に違ったものに見えたからだ。関係ないように思えるものはえてして必要なく感じられがちである。私も小学生の頃に歴史好きから城好きになって、いくつか築城したことがある。今でも忘れられない姫路城や名古屋城など小物パーツの多い城は指示された部品を切り分けた後にまだ余っているにもかかわらず作業の邪魔になるからといってポイポイと捨てていった。一日で完成することはあまり無かったので必然的に作業が数日に分かれてしまい、その間に不幸にもゴミ回収の日が訪れていたりすることが何度かあった。こういった事故が重なるうちに私の城モデルへの熱は冷めてしまった。(笑)
 第二の理由は自分たちが昔は畏怖の対象となっていた存在を恐れることがなくなったからだ。明治の初めにフェノロサと岡倉天心が法隆寺の秘仏を開いて見れたのは自分たちの築き上げてきた文化とは全く別の文化を受け入れてしまったからだ。自分たちの恐れていたものを同じように認識できなくなると、自分たちの原点に戻れなくなるのは当然だろう。当時の欧米かぶれのような存在が今では全く社会の中で浮いて見えない位まで浸透してしまっている。
 確かに全く新しい考え方を受け入れることはこれまでの日本人が行ってきたことで問題ではなく推奨されるべきものなのだ。しかし異文化を吸収するということはやり方を真似するのではなく自分たちの文化の根っこの肥やしにすることだ。自分たちの戻るべき原点をしっかり理解した上で、そこに外部からの一風変わった刺激を入れることがその文化の真の発展に繋がる。いま日本人が論じなくてはいけないのはこれからつくる美しい国ではなく、これまでの美しい国だ。日本人が過去を顧みずに未来を論じようとすることは大きな問題だ。

   講評   nane

 「日本らしさの復活」というのは、これから何度も出てきそうなテーマ。それだけ、世界の中で日本の文化が特殊だということだろうね。
 城好きの話は初めて。こういうふうに、自分が個性的にした経験というのは、人生の幅を広げる。現代は、ともすれば役に立ちそうなことを優先して、結局それだけの人生になってしまうことが多いから、このように自分の好きなことをした時間を持ったことは貴重な経験だと思うよ。しかし、築城はうまく行かなかったようだけど(笑)
 「畏怖の対象となっていた存在を恐れることがなくなったからだ」は、なかなか深い考え。ヨーロッパの視点から、日本の文化を見たということだね。これは、多かれ少なかれ、現代の日本人に共通しているかもしれない。
 「いま日本人が論じなくてはいけないのはこれからつくる美しい国ではなく、これまでの美しい国だ」は、安倍総理の「美しい国」にかけたんだね。なかなか。

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