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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   以心伝心を大切に   意気陽陽

 何ごとぞ 花見る人の長刀
花見に平素の身分・階層をもちこむのは野暮というものだ。花見とならんで、月見と雪見——この三つが日本人の自然観賞の基本になっているが、月・雪・花、そのいずれもがうつろいやすいものという共通点がある。そうだからこそ、うつろいやすいものを惜しむ心が、時候に合わした会合の珍しさを貴ぶのだ。日本の社交の基本は「見る」ことで成立する。日本では、言葉でなく、物理的対象物をともに見ることで、社交が成り立つのだ。そう考えてくると、月見、花見、雪見といった集団的な観賞行為は、じつは、日本文化のなかでのコミュニケーションの方法でもある、といわなければなるまい。
 僕は日本人のように「見る」ことによって成立する社会はよいものだと思う。第一の理由として、言葉頼らないコミュニケーションはあれこれ言葉で言うより心に深くしみるものであるからだ。日本には「以心伝心」ということわざがあるが、これは「黙っていても気持ちが相手に伝わる」という意味である。分からない問題があり「誰か教えてー」と思った時に、その人の気持ちが友達に伝わり、その友達が教えてくれることと、「教えてー」と、友達に言ってから教えてもらうのでは、教えてもらう人の気持ちは大きく違うだろう。何も言わなくても自分の気持ちが相手に伝わった時は、その友達の優しさなどがよく分かるだろう。
 第二の理由として、言葉に頼るコミュニケーションだけの社会だと、あまりに単純でつまらなく、内容の無い会話になってしまうからだ。長文にもあったが、西洋人は「愛しています」などと、日本人が特別な場合にしか言わない言葉を普通にペラペラと話す。しかし「愛しています」にはもっと深い意味があると思う。なのでペラペラと普通に言う言葉ではないと思う。それよりも日本人のように、二人で同じものを見ながら静かに過ごす方がずっといいと思う。
 確かに思っていることをそのまま言うのも誤解を招くことにもならずよいかもしれない。しかし「多すぎる休息は、少なすぎる休息と同じように疲れさせる」という名言もあるように、「以心伝心」を大切にしていけばいいと思う。

   講評   sugi

 日本人のよさ、日本的コミュニケーションのよさを、よく考えて自分の言葉でしっかりと伝えることができたね。すばらしい内容です。意気陽陽君の意見文を読んで、あらためて日本人のよさを深く考えさせられました。
 「言葉に頼らないコミュニケーションは、……心に深くしみるものである」という意見を読むと、意気陽陽君の人の気持ちを思いやる優しい性格が垣間見えるような気がするよ。たとえば落ち込んでいるひとを見て、立て板に水のごとくたくさんの励ましの言葉をかけるのはどうだろう。それよりも、だまって寄り添ってあげるほうが、効果的な場合もあるだろうね。「何も言わなくても心が伝わる」という人間関係が築けたら、それが理想なのかもしれないなぁ。
 外国人は、なぜ言葉でのコミュニケーションを第一と考えるのだろう。異なる民族が一緒に暮らし、格差の大きい社会では、「以心伝心」が非常に難しいということも考えられるね。背景を考えてみると、コミュニケーションの違いも納得ができるかもしれないよ。

「見る」ことによって成立する社会 
 → このままだと「見る」ことによって「社会」が成立するという意味になるので、「『見る』ことによってコミュニケーションが成立する社会」のように言葉を補っておこう。

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