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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   表現   シュシュ

 現代に生きる私たちは今、努力しだいでなりたいものに何でもなることができる。反面、自己実現を常に目指すことはとても疲れることで、生きづらい世の中だとも言えるだろう。その重圧から逃れるために、自己表現という方法がある。例えばカラオケでは、採点機能を使って競い合ったりしなくても十分楽しむことができる。しかし、このような簡単な表現で得られる小さな満足感ばかりに甘んじていたら、文化全体のレベルが下がる危険性があり、これは問題である。
 そのための対策は第一に、教育によって表現を支えることだ。詰め込み教育ばかりではなく、生徒自身から何かを引き出す教育が必要だ。去年私は選択科目で美術をとっていたが、1番最後の課題はとても興味深いものだった。それは、「無」というテーマ以外は、表現方法を何も縛られない課題だった。油絵でも、映像でも、文章でも、もしくはダンスでも何でもよかった。私たち生徒は、初めはこの何も与えられない課題にとてもとまどい、初めの2回くらいの授業は何をするかを考える時間に費やした。正直、もっと限定してもらった方が楽だと思った。しかし、最後の授業での、各自の作品の発表会は今までにないとても面白いものとなった。特に覚えているのが、酸素などを使って生命の始まりを表現した実験の発表だ。実験自体は失敗したらしいが、実験で表現しようとしたこと自体が予想外で印象に残った。
 第二の対策は、表現者が自己を評価できる仕組みをもっと利用することだ。以前は、マス・メディアなどに現れるほんの一部の人しか表現者になりえなかったが、今ではインターネットを使って、誰でも自分の表現を発信することができる。素人のブログが人気となって、書籍化、果てはドラマ化までされたこともあった。村上春樹の「海辺のカフカ」には、偶然出会った謎の老人ナカタさんのために、自分の職を捨ててまでつきあうホシノさんという若者が出てくる。彼がそうまでしてナカタさんにつきあったのは、仕事よりも、それによって本当の自分を表現できることができると何となくわかったからだと思う。
 確かに、いつも小さな表現によって、自己実現の重圧を軽減することはできる。しかし、簡単な表現で得られる満足感は、真の満足ではなく、真の表現による文化は構築されることがないだろう。映画「アマデウス」で、モーツァルトがだんだんと狂って死に近づいてゆく様子を見たが、昔から芸術家は狂人が多い。私は授業などで絵や何か作品を作ったことが何回かあるが、完成して満足に思ったことは一度もない。しかし私は素人なのでそれでも「まぁいいか」と終わりにすることができるが、表現が職業の芸術家は一生完成を追い求めなくてはならないだろうから、狂ってしまうことにも少し納得がいく。(こんなことを言うのは僭越かもしれないが。)真の表現とは、自分を楽にするものではなく、自分をすり減らすことによって、他人を感動させることのできるものである。

   講評   nane

 カラオケの採点機能は面白い例。採点があった方が楽しいという人は、勉強に適応しすぎのようなところがありそう。歌うこと自体が楽しいというのがもちろん自然だからね。
 美術の「無」のテーマは、いい経験だったね。限定されないテーマに接したときに、その人らしさがいちばんよく出てくるのかもしれない。今の受験体制では、限定された問題でないと採点が大変だから、どうしても受験生の発想もマークシート的になりがち。しかし、実際の人生のほとんどは、限定のないテーマだからね。
 第二の対策は、インターネットにおけるロングテール現象ということかもね。商品の販売だけでなく、自己表現もロングテールになっている。
 「真の表現とは、自分を楽にするものではなく、自分をすり減らすことによって、他人を感動させることのできるものである」は、自分自身がやはり美術の経験があるから、言えることだろうね。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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