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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   窮屈な思いは   一休さん

 私が利用している最寄の駅は田舎っぽく、現代社会の文明の利器と縁が無く上に位置するホームへは階段しかなかった。しかし、三年前についにこの駅にもエレベーターとエスカレーターという機械が導入され、より電車を利用しやすくなった。この出来事の背景には老人の急増があった。足腰が悪い老人でも気軽に遠くに行けるように配慮されたのである。このように、知恵のみだと思われていた老人が肉体的に再び息を吹き返す時代が到来した。だから、私達は不可避な高齢化社会を明るく受け止めるべきである。
 その第一の方法は老人は身体が不自由で社会的な活躍が難しいという前提を見直すことだ。現在、日本は年金制度やスロープの設置など老人が活動しやすい社会に変化している。昔の縁側で猫と共に昼寝をする老人などほとんどいない。近所で火の用心の見回りやゴミ収集を行い、遠い所で趣味を積極的に堪能している。蓄積された知恵と精力的な行動を合わせた老人は時に若者さえ凌ぐこともある。私も老人の凄さを体験した。ある個人塾の講師は高齢だが生徒以上に元気で、私を圧倒しながら勉強を教えた。自分の疲労を考えずに甲高い声を張り上げて生徒を鼓舞する講師の様子は若者には無い老人の貫禄を感じさせた。この講師はすでに亡くなってしまったが、死ぬ直前まで勉強を教え続けたと聞いた。きっと若者に少しでも力を貸すことが嬉しく楽しく、そして生き甲斐だったのだろう。私はこの老人の死を知った時、こんな老人には敵わないなと感動したものである。
 その第二の方法は老人がさらに活躍できるように社会を改善することだ。今も老人が楽に暮らせるように様々な工夫がされているがまだ改善の余地が残っている。江戸時代にはゲートボールなどの遊戯も無く老人達は暇を持て余していた。平安時代の貴族が囲碁で暇を潰したように、彼らも芸術で時間を使うようになった。浮世絵などの高度な技術は今、外国で高く評価されている。あの有名な印象派のモネも自分の家に浮世絵専門の部屋を作るほど日本の芸術を好んだらしい。彼らから学ぶ点は老人には長けた能力が秘めているということだ。若者には無い何らかの才能を引き出せる社会を構築できれば日本社会は経済面だけでなく文化面でも発展するだろう。
 確かに老人を足手まといに思う人々が多い。しかしそれは、今までの時代が構築してきた「老人は社会的な貢献をすることが困難である」という前提からである。外骨格という機械をつけることで身体の弱い老人でも力仕事をすることを可能にしたり、スロープなどの社会からの心遣いが老人を変えていく。この素晴らしい変化を最大に生かすことができるのが高齢化社会であるのは間違いない。高齢化が悪く思われる最大の理由は老人の活かし方を知る人間が少ないからだ。老人を避けずに懸命にサポートする若者達の姿勢が何より大切で、老人が活躍するための原動力となるだろう。だから、私は不可避な高齢化社会の到来を明るく受け止めるべきだと思う。

   講評   nane

 書き直して、更にいい清書になった。
 文章全体が読みやすくなっている。
 また、密度も濃いし、表現もいい。
 老人には、老人でしか持つことのできない不思議な能力がある。それは、外見に惑わされずに本質を見抜く力とも言うべきもの。
 江戸時代の老人文化の話は、ほかのテーマのときも使えそう。いつか機会があればそんな本も読んでみよう。

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