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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   喧嘩で作る社会   かいち

 僕はあまり殴ったり蹴ったりといった喧嘩をしたことがない気がする。本当は一度や二度はあるのかもしれないが,ほとんど記憶にない。だから、僕の思い浮かべる喧嘩というのは、いわゆる口論だ。多くの人の考えでは、喧嘩は多少暴力的なものと思われるのだろうが、僕は非暴力的なものと思っていたため、喧嘩は別にしても良いものと思っている。(是非の主題)
 その第一の理由は、互いの意見が食い違うということはそれぞれの「自己」が確立しているということになるからだ。前から僕は、他人から尊重されるため、自分の存在を明らかにするためなど、さまざまな理由から「自己の尊重」が大切だと考えていた。これを前提に考えてみると、互いの意見が違うということは自己をすでに確立しており、それに基づいて自分の意見がつくれているということだ。そのような主張の対立から生まれた喧嘩は大いにするべき、というよりも議論するべきであると思う。(複数の理由一)
 第二の理由は、喧嘩をした後に見えてくることの大きな価値にある。自分の意見が正しいと思うあまりついつい議論が白熱し、いったんは相手の意見を軽蔑したりする。しかし、その熱がさめてもう一度相手の意見を考え直してみると、「やっぱり相手の言うことにも一理あったかもしれない」と思うこともある。僕は、小学校の学級会では特に発言はせず、ただ成り行きを見ていることが多かった。だが、どうしても納得できない時などには発言をした。普段あまり発言しないせいか、「何でそういう方向に話が行ってるんだよ」と多少怒り気味だった。「ああ、そうだな。」と納得してくれるときもあったが、毎回そうという訳ではない。時には「でもそれじゃあだめじゃん」とはね返されることもあり、ついには口論になることもあった。だが、その日の夜などに口論のことを思い出すと、「そういえば確かにあいつのほうが正しかったな。でも、自分の意見のあそこは聞いてくれてもよかったんじゃないのか」などと考えた。喧嘩をすることによって、その勢いに乗せて自分の考え方を何も隠すことなしに相手にぶつけ、また相手の意見そのものを聞き、それらを比較することで、自分の主張の欠点を削除し相手の主張の利点を取り入れるというやり直しが利く。それを繰り返すことによって、より良い主張が生まれていくのだ。(複数の理由二)
 確かに、主張の対立であることを忘れ、感情の対立に勝手に発展し、さらには武力行使に突入するというのはたいへん危険でもあり、あってはならないことだ。しかし、議論という観点からのすばらしさも見逃せない。喧嘩はしても良いが、それなりの自制心が必要である。自分の感情を抑えるのが難しいと思う人は、相手を傷つけないようになるべく喧嘩を避けたほうが良い。うまく利用すれば価値のある喧嘩だが、悪くすると相手も自らをも傷つけてしまう。「議会の目的は、議論を殴り合いの代用品にすることである。」という名言もあるように、喧嘩の意味は僕の言うように「非暴力的であり、議論をする」ということのはずだ。昔の国会では議長を取り押さえるなどの行為が見られたが、はっきり言って、はしたないと思った。「大人のくせにこんなことしてる・・・。」現代ではそのようなことはなくなってきていると感じるが、いつ起こらないともいえない。大人は大人として、そして僕たちも現代社会の一員として、喧嘩をうまく利用し、より良い社会にするように努力したい。(反対意見への理解、名言の引用、是非の主題)

   講評   nara

 自分の作文で採り上げる喧嘩の定義付けをしっかりしたのは、やはり成功だったね。論点がはっきりしていて、わかりやすい作文になった。今回の作文では敢えて論じなかった、いわゆる「殴り合いの喧嘩」についても、考えをまとめてみるといいよ。小さい頃の殴り合いの喧嘩は必要か否か。よく「小さい頃にやったことで、限度を知る」という肯定的な意見も目にするけれど、かいち君はどう思う?
【構成】第一理由・第二理由ともによくまとまっている。日本では「ケンカはダメ」ということで、口喧嘩も止めさせられる。罵倒し合うのは無意味だけれど、論を戦わせている場合も、喧嘩と括られることもあるかもね。対立を避ける気持ちから口論もしないことで、根本的な理解から遠ざかってしまうということもあるかもしれないね。第二理由はその点をしっかりと指摘できている点がいい。
【題材】今期からの「データ実例・長文実例の引用」はやや難しい。普段からも数字を意識したり、今までに扱った長文を関連づけできないか意識したりするといいね。「Child Research Net」というHPに、子どもに関するいろいろな調査データが出ていたよ。使えそうな題材がありそう。
【表現】いい名言が見つかったね。まさに、かいち君の意を得たり!
【主題】人間だから、議論において感情が高ぶったり、感情に引きずられた言葉を投げつけることもあるだろうね。それを反省できるのも、また、相手がそういう状態になっているということを踏まえて対処できるのも、人間だからこそ、だ。
【表記】「…」は3点リーダーと呼ばれる。「・」を1マス3つ、それを2マス続けるというのが一般的な使い方だけれど、最近の印刷物はかなり表記が不統一のようだ。一番基本となる使い方にしておくといいね。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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