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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   間違った科学の使い方   ☆shooting star☆

 マンガ「ドラえもん」は、「鉄腕アトム」や「鉄人28号」に代表される、スーパーヒーロー型とは全く異なった、読者の日常生活に密着して愛されるタイプのロボットとして誕生した。「ドラえもん」がヒーローたり得るゆえんは、「四次元ポケット」から出てくる、未来のアイテムである。それら一つひとつに、私達の限りない夢があることで、「ドラえもん」の人気の秘密であることは言うまでもない。しかし、「ドラえもん」には見逃してはならない、もう一つの重要な視点があるべきだと思うのだ。次から次へと「四次元ポケット」から出てくる奇想天外な科学の小道具は、困難を解決してくれるどころか、思惑に反して勝手に暴れだし、思いがけない新たな問題を引き起こしてしまうのが常である。それが、ギャグのメインにはなってはいるが、そこにはただ笑ってはすまされない問題がある。現代の日常生活は科学文明を過信するあまり、科学に対する基本的な姿勢を忘れ去ってしまっている。便利という言葉に浮かされて出来合いの科学を大量に買い込んで、これでもかという失敗を繰り返しても、実に平気なのである。それはまるで、「ドラえもん」の中に登場する、問題解決の本質を見極めようとはせず、実に安易に「ドラえもん」のポケットに助けを求める、「のび太」の生活そのものである。「ドラえもん」の真の面白さは、我々の日常への痛烈な風刺にあったのだ。私は、科学文明を過信しない方が、人々のために良いことだと考えている。
 なぜかというと、理由第一に、科学文明に頼りすぎない方が、自分らしい自分の存在を保っていられるからだ。私は小学生の頃、時々一緒に学校でサッカーをして遊んでいた友達、Kがいた。Kは明るく、スポーツが大好きな、気の強い女の子だった。女子のサッカー選手になること、それが自分の夢だと彼女は語っていた。私にとって、毎日夢と希望で輝いているKは、とっても仲の良い相手でもあり、憧れの存在でもあった。しかし、私から彼女への思いが一転する日が訪れたのだ。空に雲一つない、晴れ晴れとしていたある日、私はKに、放課後皆でサッカーしようと誘った。しかし、Kは首を振って、いいと断った。私が「何で?Kはサッカー大好きじゃん」と訊くと、Kは答えた。「私、もう外でサッカーしない」と。私も、周りにいた友達も、口を開けて驚いた。Kがサッカーをしたがらないのは、前代未聞の出来事だ。Kは続けて言った。「昨日、PS2のサッカーのゲームソフト買ったんだ。だから、これからは家で座りながら、汗もかかないで、ゆったりとサッカーを楽しむことにしたよ。」そして、彼女はこう付け加えた。「それに今年の夏はこんなに暑いんだし。」その年の夏は、まるで氷のように解けて蒸発してしまいそうなほど暑苦しかった。確かに、汗をかかずにすむことは、少々だが羨ましい。しかし、体を動かさずに、どうやってサッカーを楽しむのだろう。仲間とやらないサッカーなど、何が楽しいのだろう。そう思った私は、Kに失望した。それ以来、私達はなかなか口を聞かない仲になってしまった。あんな科学でできたゲームさえなかったら、前みたいに一緒に楽しく遊べたのに、と私は今でも悔しい思いをしている。
 また第二の理由としては、科学を過信すると重大なしっぺ返しが繰るかもしれないからだ。今、環境問題が起きていることは、言うまでもない。そして無論、その問題の起きた理由も知っているだろう。理由は、私達人間の、日常的な生活の中にある科学なのだ。1994年の環境庁のデータによれば、世界の二酸化炭素排出量の割合は、1位がアメリカ22.4%である。2位が中国、3位がロシア、そしてなんと、4位が日本4.9%なのだ。二酸化炭素は、大規模な環境問題の地球温暖化の原因の一つである。二酸化炭素は主に、クーラーや暖房機などを動かす電気の元となる火力発電から空気中に大量に発散されている。二酸化炭素だけではない。フロンや酸性雨などの有害物質を作り出しているのも、全て人間である。現在、科学が発達されてからというもの、我々が住んでいる地球に、大きな被害を与えているのだ。なぜ、こんなことになってしまったのか。それは、私達人間が抱いている野望が原因に過ぎない。自分が暮らしている日常生活を、もっと楽を、もっと便利にという願いが、今のような大問題を起こしてしまっているのだ。地球温暖化が進めば、南極や北極の氷は解け、海面はどんどん上昇し、やがて地上は海の下へ沈んでしまう。そもそも、大地が沈む前に、人間も他の動物も生き物も、あまりの暑さに命を落としてしまうのではないだろうか。このように、今は科学はプラス面として配慮されているが、その背後に、環境問題などへの未来の大きなマイナスが隠されている。
 確かに、科学の発達は、人類の生活を快適にした。作文もパソコンで書くので、ずいぶん普段の生活が楽になった。しかし、科学に頼りすぎたり、過信したりすると、本来あった自分らしい自分が失われてしまったり、科学をマイナスに変えて悪用してしまったりするのは、我々にとって決してよくないことだ。「寒さに震えたものほど太陽の暖かさを感じる」というが、科学に頼らない苦しい生活より、科学ばかりの生活の方がずっと楽で良いと考える人が多い。だが、科学の力に頼らず、毎日どうすればよりよい生活を送ることができるようになるかなどを考えることが重要だ。科学の力にばかり頼って、今頃後悔したという人が、この世界には何百万人、いや何千万人といるだろう。あの時、自分の力で頑張っていたら、このようなことはなかっただろうに、と悔やんでも、後悔先に立たず。将来の自分に悔いを残さないよう、科学の使い方を考え直すことが、大切なことだと私は思う。

   講評   hoemi

《一段落目》 『ドラえもん』に見る科学文明を過信した現代人の日常生活がいかなるものかを軸にまとめられたね。続く是非の主題<科学文明を過信しない方が人々のために良いことだと考える>を入れられたね。
《二段落目》 外で自分の足を使い、汗をかきながらチームメイトと楽しむサッカーと、バーチャルな世界で楽しむサッカーは根本的な違いがあるよね。Kさんがどうしてそんな豹変をしてしまったのか先生には皆目見当もつかないけれど、☆shooting star☆さんがKさんに失望してしまった気持ちは手に取るように分かったよ。科学文明に頼りすぎた挙げ句の果てを考えると、やはり科学文明を過信するのはどうかと思わずにはいられないよね。
《三段落目》 データ実例を挙げられました。科学が発達していくというプラスの面の裏側では深刻化する環境破壊があることを忘れてはならないね。データ集をもとに、科学文明を過信するあまり起きてしまった環境問題の深刻化についてしっかり説明できました。これは一刻を争う事態となりつつあることをわたしたち一人一人が重く受け止めなくてはいけない事実だよね。
《四段落目》 ☆shooting star☆さんの言うとおり、科学の使い方こそが大切なのだよね。むやみやたらに科学を過信するのではなく、使い方を工夫することで科学が本来持つ素晴らしさを発揮できるのだと思うよ。自分の意見をきっちり伝えることができていて良かったですよ。

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