国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   憧れと幸福   れもん

 ずっと憧れていたのに、一旦自分の手中に収めてしまうと、途端に輝きを失うということは、よくあることだ。その典型が、通信販売である。一目ぼれをした商品を迷った挙句購入した。しかし、その憧れの商品が届く頃には、その商品への憧れも消え、他の商品に目移りし、結局、商品の入ったダンボールを開封すらしないということを、一度は経験したことがあるだろう。通信販売の戦略というのは、実際実物を手にとれないことにより、一層その商品の消費者の中での価値を上げることにある。幸福についても同様のことが言えるのではないか。自分が持っている物を、羨ましく思ったり、切望することは無いのであって、自分に無い物を求めて得ようとする過程が人間にとって、一番の幸福なのである。だから、私たちは、未来に幸福を求めるべきだと私は思う。
 その第一の方法としては、自分の現在の状況に満足せず、常に向上心を持って行動することだ。戦後の日本は、「欧米に追いつけ追い越せ」をスローガンに、他国が100年かかって成し遂げた経済成長を、たった20年間で果たした。それが「高度経済成長」だ。数年前「ALWAYS 三丁目の夕日」という映画が大ヒットを記録した。これは、1960年代の高度経済成長初期の時代をテーマにしたヒューマンドラマである。この映画のヒットの最大の理由は、中国経済の猛烈な追随を受けている、活気を喪失した現代と大きく異なる点にあるのではないか。著しい経済発展を成し遂げ、先進国の一員となった現在の日本は、「ものづくり日本」の名に甘んじ、未だ明確で新たな国際的アイデンティティーを見出せずにいる。必要以上に現在の生活に甘んじた生活は、幸福ではなく堕落なのである。物と金に依存した生活からの脱却、つまり目先の幸福ではなく、目標を達成した際の一瞬の幸福を求めることが大切なのだ。
 第二の方法は、成功したことが尊いのではなく、挑戦することが尊いのだという価値観をもてるような社会をつくることだ。薩摩藩を統率した西郷隆盛は、薩摩藩(現在の鹿児島県)を完全に日本から分離し、独立させようと目論んだ。結果的にそれは、成功しなかったのだが、現在も鹿児島県には、鹿児島弁など、他の県とは一風変わった文化が根付いている。西郷隆盛の「児孫に美田は残さず」という言葉は有名である。自分が今置かれた地位に満足していたら、上は目指せないし、一向に現状は変わらない。西郷隆盛のように、たとえ失敗に終わっても、革新的な野望を抱く者だけに味わうことが許された幸福というものが存在するのだ。
 確かに、幸福は心の持ち様だという考え方も分かる。しかし、安易にその考え方に定住してしまうのは、自分自身の質を落とすことにも繋がりかねない。果報は求めて得よ。現在以上の幸福は求めない限りやって来ない。幸福とは、親しい友人ではなくライバルなのだ。手に入れたらすぐに消えていく。だからこそ、幸福を求め続けることに意義があり、幸福が輝かしいもので在り続けるのだ。憧れは、決して永遠ではない。私たちは、随時新たな憧れを探し、それを達成することに尽力するべきなのだ。
                              

   講評   nane

 この清書も、結びの意見にパワーがあったね。
 意見の中心が決まっているので、説得力がある。
 日本の社会は、確かに目指すべき目標を見失っているように見える。
 バブルの崩壊までの、日本人の価値観は、より豊かにだった。しかし、その後の経済の停滞で、自分たちの目指すものがわからなくなったのだろうね。
 今、日本は、勝ち組負け組みというように、社会の問題を個人の問題に還元しているけど、本当は、みんなが勝ち組になれるような社会の土台を作ることが大事。
 この仕組み作りは、外国の物まねでなく、日本人がオリジナルに考える必要があるところだろうね。
 この問題意識を今後も持ち続けよう。
※オカメインコの絵上手だね。

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