国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   潤滑油   タラちゃん

 交話機能というのは、簡単に言えば、ことばがもつ、人と人との気持ちを結びつける作用を指すものである。考えてみると、私たちがことばを用いるとき、別に何かを伝えたり、特にあることについて語るというわけでもなく、ただことばを発することそれ自体に、主たる狙いのある場合がある。人が出会いの際に経験するこの生物的な緊張をほぐし和らげ、次の交流段階に支障なくつないでゆくきっかけ糸口を与えることが、俗にあいさつと呼ばれる言語行動の主たる役目なのである。あいさつのように言葉を交わし合うことそれ自体が、互いの心を通わせ、一体感を高める働きをするのである。もう一度言うが、交話機能とは、人々が本格的な対話関係に入るためのいわば地均し、心の波長(ダイヤル)合わせを行うものであり、対話どうしの一体感や帰属意識を高める潤滑油としての働きなのである。ところで、ことばについて次のような意見がある。
 まず、ことばには潤滑油としての働きがあり、それを活かしていくことが必要だという意見。僕の学校は人数が多いため、友達が沢山いるわけである。廊下で会うときなどときどき、相手が無視したり、自分が無視したりすると、どの子の場合においても瞬間的に少々気まずい雰囲気が流れる(別に仲が悪いわけではないのだ)。僕はあいさつを積極的にする方であるから、あいさつをこちらから送れば、相手も素直に返す。こうした方が、今後の友人関係に何かしらのひびがはいることはないため(少々大げさ)。これぐらいするのは当然だと思った。また、相手と話をするときにも、まず「すみませんが」などと声をかけてからの方が違和感はないと思う。例えば、人に道を聞くときに、いきなり「○○はどこですか」と聞くのは、マナー的におかしい。なので、「すみませんが」とひとつあいさつみたいなものをいれるのである。
 逆に、潤滑油としても機能だけで、中身のない話ばかりというのも困るという意見。たまに通学路の途中の電車で友達に会うのだが、たいていは相手から話を仕掛けてくるのだ。それもはっきりいってどうでもいいようなこと(中身のないようなこと)を話すことが多い。これの困ることといえば、中身のこもった返辞をしずらいのである。例えば、「今日は寒いね」と言われても、「うん」とか、「今日は○度みたい」ぐらいしか言えないのだ。「今日は寒いね」というのは先程の潤滑油、あいさつである。僕の友達はこればっかりの時が多い、というわけである。「アリとキリギリス」という話がある。「晴れの日も雨の日も、せっせと食料を運んで働くアリを、キリギリスは「つまらないやつだ」と言った。・・・」と続いていく物語である。このキリギリスの言う「つまらないやつだ」というのも中身がなくて、特に潤滑油にはなっていない。こんなことを言われても、アリは返辞をしないわけだ。
 確かに、あいさつのような潤滑油は大切であるという意見も潤滑油のみのような中身のない話は必要ないという意見も、共感できる。でも一番大切なことは、ことばを上手く使いこなせるような人間になるという目的であると思う。「辞書のような人間になることではなく辞書をうまく使えるような人間になることが勉強の目的である」。ことばを発する人間なることではなく、ことばを上手く使いこなす人間になることが目的なのである。

   講評   hira

 言葉の中身と潤滑油としての機能から、言葉のあり方を考えさせる長文でした。人間関係の濃淡によって潤滑油だけで済む人もいます。みんなに中味を求める必要はないのでしょうが、自分自身が潤滑油だけだとそれだけの人になってしまう気がします。総合化の主題も深まりつつありますね。思索の秋かな。
■第一段落 ○要約
 読むだけで長文のポイントが思い起こすことが出来るな。
■第二段落 ● 複数の意見一 ◎ 体験実例  ◎ たとえ
 潤滑油としての言葉の機能を自分の実例で説明できました。丁寧にわかりやすく書かれていて、このままどこかの偉い人の書いたものとして出しても(それはいけませんが笑)通用しそうな説明力です。
■第三段落 ● 複数の意見二 ● 昔話の実例・長文実例 ◎ 体験実例 ◎ ユーモア表現
 「今日は寒いね」これも大事ですが、しかしこればかりだとどうもつまらないですよね。昔話実例もおもしろいところを引いてきましたね。もう少し意味を読み込むといいかな。アリもはじめは相手を思って(か?)「準備しないと冬大変だよ」なんて、中味のある話をしていたのでしょうが、結局キリギリスには中味のある話を理解できなかったということ、この辺が使えるかなあ。
■第四段落 ○ 反対意見への理解 ● 総合化の主題 総合化  ● 名言の引用
 総合化の主題はコツをつかんで書けています。名言もぴったり。


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