国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   自然にはかなわない   ショウ

日本人は長い間木綿と木の中で暮らしてきたが、明治以降、それを捨て、人口材料を追いかけてきた。しかし、ヒノキは切られてから二、三百年の間は、強さや剛性がじわじわと増して二、三割も上昇し、その時期を過ぎた後ゆるやかに下降する。バイオリンも、古くなるほど音がさえる。つまり、用材の剛性が増すとともに、音色がよくなるのである。また、木は生育した土地で使われたとき、いちばんしっくりとして長持ちする。私たちは機械文明の恩恵のなかで、工学的な考え方に信頼を置くあまり、数量的に証明できるものにのみ真理があり、それだけが正しいと信じすぎた。だが、自然が作ったものは、コンピューターでは解明できない側面を持っている。
僕は、ポーランドに住んでいる。ポーランドの夏はそれほど暑くはならない。そのため、家にエアコンがある家は少ない。日本だったら考えられないことだが、ポーランドでは、エアコンより、暖房の方が必要なのである。僕が日本にいたときは、家にひとつだけではなく、だいたい各部屋にひとつくらいエアコンがあった。夏の暑い日には、エアコンの涼しい風を浴びるのが大好きだった。しかし、自然の豊富なポーランドで日本のエアコンのことを思い出していると、ときどき「エアコンの風ってそんなに気持ちよかったっけ」と思うことがある。年に一回の森林浴で自然の風を浴びていると、エアコンと同じで気持ちいいのだけれど、何かが違うような気がする。最初は周りの風景が違うからだと思っていたけれど、そうではないような気がする。人工的に作られたものと自然が作ったもの。人工的に作ったもののほうが便利だけれど、自然が作ったもののほうが安らげると思う。
母に話を聞いてみた。母が最も自然と人工の違いを感じるのは「だし」らしい。僕の家は平日はだいたい味噌汁やすまし汁がついているが、いつもは、粉末のだしの素でだしをとっているらしい。しかし、お客さんが来たりするときは、だしの素は使わず、きちんとだしをとるそうだ。昆布を水に入れておいてわかし、ふっとうする前に昆布を取り出し、かつおぶしを入れて、それからこすのだそうだ。ふだんは面倒でそんなことはしないが、やはりきちんとだしをとると、風味が全然違うらしい。だしの素を使うと簡単で便利だが、自然のうまみ、本物の味にはかなわない、ということだ。
人間にとって、人工のものは便利だが、自然のよさも取り入れていくべきだと思った。いくら技術が発達したといっても、「大木は風に折られる」ということわざがあるように、やはり自然の力にはかなわないと思った。

   講評   siro

 ショウくん、こんにちは。自然と人工のものの違いについてよく考えています。今はもう日本も冷房要らずの時期ですが、数ヶ月前まではどこの家庭でもエアコンをつけていましたよ。最近は、環境問題を意識してエアコンの設定温度を上げているところが多いようです。でも、結局エアコンの便利さがやめられず、温度を変えるだけで終わってしまっています。それを考えるとポーランドは自然の風がエアコンと同じようにひんやりとしていて、しかもエアコンより気持ちいいとは、恵まれた環境ですね。具体的にエアコンに比べてどう気持ちいいかはなかなか言葉で説明するのが難しいようですが、きっと実際に風にあたれば分かるのでしょうね。
 お母さんから聞いた「だし」の話も納得できます。自然の風味に似せることはできても、完全に再現することはできないということですね。
 大変よくできました。


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