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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   一本のオジギソウ   一休さん

 一昔前に「ライヤーゲーム」というドラマがテレビで話題になった。ある少女が一億円のような大金を賭け金としてゲームを行うのだが、人を騙す方法が勝利への鍵だった。純粋な少女は困惑しながらも天才的な詐欺師と共に勝ち続けた。対戦相手も徐々に手強くなり「騙される方が悪い」といった偏見を持つ劣悪な者になっていった。このドラマは実に人間を騙す行為が世に蔓延っている現代社会の様子を露わにしている。オレオレ詐欺や鉄筋を抜く行為、消費期限の誤魔化しなどの人々を欺く犯罪が後を絶たないことからも分かるだろう。人間が培ってきた攻撃的な思考がこの社会を形成したのである。比べ、イルカは調和の社会を常に目指している。だから私はイルカのような調和的な思考を我々も取り入れるべきだと思う。
 その第一の方法は攻撃的な思考の実態を知ることだ。私達は無意識にこの考え方を会得しているので、攻撃する意思無しで相手を傷つける場合が多い。当然、人と人の間柄であるならば他人を批評した結果傷つける事態もあるし、批判ばかりする者は否応無しに人間関係に歪みが入る。しかし人と動物、人と自然はどうであろうか。自分達が優秀であると思い込み、一方的に支配する傾向があるだろう。特に昔からヨーロッパでは自然は利用する対象でしか無かった。その見返りが現在の環境問題であるならば致し方あるまい。私自身、自然を乱雑に扱い共生など一欠けらも考えない時期があった。私の庭にはオジギソウが生えており、毎年顔を出す可愛いやつだった。しかしあまり物に対する執着は無かったので、ボール遊びの際にオジギソウを踏みつけることを苦とも何とも感じなかった。この無邪気で愚かな者を根本から変えたのは次の言葉であった。「何のために生まれてきたんだろう、そのオジギソウは…。」踏まれたオジギソウが再起不能に陥ったこともあって、この言葉はグサリと心に刺さった。私はこの時、攻撃の威力を知り、年月を経てから自然に限った話ではないと悟った。現在の私は森羅万象に対して相手の立場に並んで物事を捉える調和的な思考を多少なりとも持つようになった。(体験)このように攻撃の力を学べば、その矛先の修正が利くようになる。
 その第二の方法は攻撃的な思考によって生じる結果を考察することだ。攻撃が相手を傷つけ不快にさせ、以前の関係を破壊し得ることは明白である。歴史における冷戦などはまさに攻撃の押し合いといえる。アメリカとソ連がお互いの軍事力を競い合ったことは自明の事実であるが、結果はどうであっただろうか。世界を恐怖に陥れ混乱させただろう。現在で言えば、北朝鮮が核実験を行い「核カード」をちらつかせて日本を威嚇している。「攻撃は最大の防御」ということわざもあるが、攻撃は最大の危険でもある。北朝鮮の必死の抵抗が仕方ないものと認識しても、私は核の抑止力による策は解せない。このように、攻撃が行われる以上は加害者と被害者が存在し、双方は共にこの世を生きていくしかない。だから、攻撃による波紋を予期する能力を備え、調和を目指す姿勢が大切である。
 確かに攻撃的な考えで相手を捻じ伏せ、一方的に支配することは可能だ。しかし歴史を顧みれば、独裁者は全て失敗し、一方イギリスの議会政治のように与野党がお互いの長所を見つけあう調和的な姿勢は良しとされ、現在まで継承されていることは理解に難くない。「国を支配することは統一ではなく、分裂の始まりである」私達、人類は攻撃といった野蛮な行為ではなく、調和という未来的な社会構成を目指さなければならない。日本の第九条はその先駆けに十分値するだろう。だから私は、我々は調和的な思考の取り入れをすべきだと思う。庭には一本のオジギソウが咲いている。

   講評   nane

 冒頭の実例が密度濃く個性的。確かに、これまでの世の中はずるく立ち回る方が得をするという面があったからね。
 オジギソウを踏みつけてしまった体験実例が生きている。この部分の表現は、もっと文学的にできそうな感じもある。文章の内容に比べると「再起不能」「森羅万象」がやや硬すぎる印象(笑)。
 「攻撃は最大の防御」をうまく加工した。攻撃のない社会を作る工夫をする必要があるね。
 「国を支配することは統一ではなく、分裂の始まりである」は、あまり逆説という感じがしないので、もうひといき。
 憲法九条は、いい入れ方。「庭のオジギソウ」は、いい感じだけど、もう少し前後の文になじむといいかな。

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