創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   勉強する理由   かつさ

 日本人は「努力」や「勉強」という言葉をよく好んで使う。けれども、明治以降ヨーロッパに追いつくために夢中で知識を取り入れてきた日本人は、何のために勉強するのかという目的を問う前に、知識を得るためにがむしゃらに「つとめ、しいる」癖がついてしまった。そのため、学問がただ単に面倒で、退屈で、つまらないものといったイメージが強くなってしまったのだ。しかし、本来「勉強」とはそれ自体が目的ではなく、あくまでもそこへ行きつくための手段に過ぎない。大切なのは、何のために学ぶのかということだ。そして、自分が何の目的のために勉強するのかをはっきりさせた時、初めて勉強が有意義なものになるのである。(要約)
 私たちの世代は「ゆとり教育」の最盛期に小学校時代を過ごした。だから小学校で習うはずだった台形の面積などは塾に行って全て習ったのだが、その塾は皆中学受験を前提に行くような所だったから、山のような情報を頭に叩き込まれた。社会などは当然暗記するものがたくさんあったし、算数だって目が回るほどの数式を覚えさせられた。今ではそのほとんどの事を忘れてしまったのだが、その理由は簡単である。勉強の目的が中学受験であるからだ。もう高校生になった今では、それらの知識の存在理由はなくなってしまっている。しかし、これでは何のためにあの頃必死に勉強したのか分からないとつくづく考えさせられる。だから今はその反省点を踏まえて、自分がどう生きたいのかが見つかるような、またはその生き方に役立つような勉強法を模索中である。
 そういえば、私たちが小学校を卒業した後に、政府は「ゆとり教育」から元の教育方法へ戻し始めたそうだ。学力の低下が叫ばれ始めていたからいつ元の教育方法に戻るかは時間の問題であったが、もともとの政府のねらいは分からなくもない。欧米諸国の文化に追いつくために行なわれていたつめこみ型の勉強法を、日本が経済大国に発展した今、個人の独創性を取り戻せるような勉強法にしたかったのであろう。しかし、その「ゆとり教育」を経験した私から言わせれば、それは単に遊ぶ時間が増えただけで、何の為に自分は勉強するのか、というような本質的な話題に及ぶようなものではなかった。そもそも、「勉強することに意味がある」と思い込んでいる私たちに、突然全く逆の勉強に対する捉え方を教えられてもそう簡単には納得できない。
 欧米諸国に並んだ現代において、日本はアメリカやイギリスとは別の道を歩まなければならなくなっている。今までのようにアメリカの尻に敷かれ続けるわけにはいかない。しかし、アメリカにあらかじめ敷いて貰ったレールをただ辿ってきた日本文化に、自らのレールを作り出すような技術は無い。百余年に渡って作り上げてきた日本人の高い勤勉性が、ここに来て大きな壁になってしまっているのである。この壁は高く、そして分厚い。取り除くのには長い年月がかかるだろう。しかしそれが出来れば、現在日本が抱えている諸問題、あるいは日本も含めた地球規模で解決すべき問題にも、今までには無い柔軟な対応が出来るようになるのではないか、という希望も生まれてくるのである。そして、それこそが私が考える、真に勉強する目的であるのだ。

   講評   nane

 いつもながら、要約がうまいね。
 中学受験の塾と今の勉強の例は、共感できる。たぶん、中3から高1にかけてのころかなあ。自分に納得のできる目標を見出して勉強に取り組めるようになる。昔の元服の時期に、人間は新しい人生のスタートを切る。孔子も「十五にして額に志す」と言ったから、たぶん人間のDNAにそういうタイマーがついているのかもしれない。
 勉強の意味は、これから一人ひとりが自分で納得していくものになる。納得してからの勉強こそが本当の勉強と言える。
 これからも、自分の勉強や人生の目的を、現代の日本の社会との関連で考えていこう。
 よく考えた力作。

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