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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   人それぞれの宝物   ショウ

 「ギシギシ」
僕の宝物箱を開けると、そこには、ひとつの石が入っている。直径は三センチメートルくらいで、形は別段変わっているわけではないが、白い石にラメがついているように見える。この石を見ると日本で暮らしていたときのことを思い出す。
この石を拾ったのは市内にある寺で、この寺には、年に一度の豆まき大会のときや、春、桜がきれいなときに見に行ったりした。友達と一緒に寺の敷地内を歩いているときに偶然発見したもので、最初は、誰か子供が石にラメをぬったものを落としたのかと思ったが、よく見ると違っていた。それは天然ラメのようなものだった。一緒にいた友達はあまり関心がないようだったが、僕は、ラメの正体を知りたくて家に持ちえることにした。この正体はいまだにわかっていないが、それがまた面白く、宝物になった。そのとき、たまたま宝物箱の中には、学校で図工の授業のときに作ったラメ付き石があった。拾ってきたものと比べてみたが、やはり何かが違う。光っていることに変わりはないのだが、
遠くから見たときに、ラメをぬった方は、明らかに光っていて、立ち位置を変えてもあまり色は変わらないけれど、拾ったものは、どこから見るかによって、全く感じの違う石になる。これが、僕の宝物にした理由のひとつでもあるのだ。
 母に話を聞いてみた。母の宝物は、ガラスでできた4本の木の壁掛けだそうだ。これは玄関のところに飾ってある。木の形は単純だが、それぞれ春夏秋冬を現していることがわかる。母が父と初めて旅行に行ったウィーンのインテリアショップで買ったものだそうだ。とても気に入ったので、日本に帰ってから額縁屋さんに頼んで、緑色のビロードのような布地と細い金色の緑かざりをつけてもらったらしい。その後いろいろなところへ旅行したが、似たようなものは見たことがないそうだ。もう十五年も前のことだが、その店の様子、お店のおじさんやウィーンの通りの様子まで思い出せるそうだ。母にとっては、その「思い出」も宝物なのかもしれない。
人間は、宝物というものを持っていて、それは寺で見つけた石であったり、壁掛けだったり、人それぞれにいろいろな宝物があるということがわかった。「十人十色」とはまさにこのことなのだな、と思った。
「パタン」
僕はその白く輝いている石を、宝物箱の中に戻した。

   講評   siro

 ショウくん、こんにちは。見る角度によって光り方が変わる石とはきれいなのでしょうね。先生も見てみたくなりました。お寺で拾った石のようですが、なぜその石だけ光っていたのでしょうか。神秘的でもありますね。
 お母さんが大切にしている宝物の話もステキですね。十五年前に購入したときの「思い出」も宝物とはその通りだと思います。その壁掛けを見るたび、お母さんはお父さんとの楽しかった旅行のことを思い出すのでしょう。玄関に飾ってあるようなので、もしかしたらお父さんにとっても大切な宝物なのかもしれませんね。
 最後は「十人十色」ということわざを使ってまとめています。拾った石も壁掛けも、お金では買えない価値がありますね。宝物の本当の意味をあらためて考えたことでしょう。
 大変よくできました。

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