国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   人と自然   ニンジンスキー

 私の家は自動車がやっと通れるぐらいの路地に面している。ほそうされていず、道ばたには草が生えていた。ある秋、熟したエノコログサをながめていると、となりの家のおばあちゃんが近づいてきた。
「ネコジャラシがこんな所に生えてくるなんてねえ」
とおばあちゃんは感心している。私はすっかりそのおばあちゃんに仲間意識を持った。しかし翌春、私の家の前にスミレが咲いた時、外出から帰ってくると、スミレがなくなっていた。おばあちゃん草むしりをしてくださったのである。町中の雑草に対する人間の態度は時と場所によってさまざまである。ハイキングに行けば「緑がいっぱいで気持ちいいわねえ」と喜ぶ人も、自分の庭に出てきた雑草は血眼で引き抜いてしまう。
 私の学校では、たしか夏の終わりに整備委員会という委員会が企画して、全校生徒が森(と呼ばれているが、ブランコやジャングルジムなど、公園的な面もある)の雑草を抜くのだ。最初のほうは青臭くて苦いにおいが気になって仕方がなく、あまりやる気のない雑草抜きだった。しかし、まわりがどんどん青臭くなっていくので、いちいち気にしていると窒息してしまうほどになり、いままでおとなしかった生徒たちは、いきなりスイッチが入ったかのように血眼で雑草を徹底的にやっつけていく。まるで巨大なショベルカーのようだった。抜けない根は全体重をかけて引っこ抜き、とちゅうで切れると、掘り返してまでしてやっつける。私は砂場近くの場所をやっていたが、最終的に、土がひっくり返り、まるで小さな嵐が去ったあとのような風景が視界に飛び込んできた。あとから思った。「嵐は自分たちだった」と。作業後の生徒の顔は「あ〜、すっきりした」という顔だった。私自身、ストレスが完全に発散された。
 かつて日本には、ニッポニアニッポンというトキがいた。日本産トキであり、また、まれにしかない冠羽のあるトキだ。学名は、“Nipponia nippon”といい、2003年10月10日の朝、さいごのニッポニアニッポンの『キン』が死亡。中国産トキで繁殖されているため完全な絶滅ではないが、『野生絶滅』という形で日本の自然からいなくなった。絶滅の詳しい経緯は分らないが、死んだトキの中の一羽は死亡解剖で大量の有機水銀が見つかっている。有機水銀というのは、水俣病の原因であり、種子の農薬(殺菌剤)として使われ、魚やそれらを捕食する動物に、その毒性で深刻な健康被害をもたらすそうだ。魚類を食すトキには被害があっても当たり前だ。また、トキが野生絶滅した理由には人間による開拓の結果、住む場所を追われたことも挙げられる。そんな人間の勝手気ままな生活により、トキは絶滅してしまったのだ。一応、中国産トキで繁殖させていたが、それはあくまで人工繁殖であった。しかし、最近になって、野生のトキが誕生、日本の自然に、トキが帰ってきたそうだ。しかし、これは純日本産のニッポニアニッポンではなく、中国のトキである。結局、絶滅を止める事はできずに、人間の理由でこの世から消えてしまったニッポニアニッポンは2度と帰ってこない。
 人間にとって自然とは、抜かなくてはいけない厄介者の雑草であったり、もう2度と帰ってこないニッポニアニッポンであったりと、どちらもほっといてはいけないものである。なぜなら雑草は丁寧に抜かなければ周りの養分をとってしまうし、ニッポニアニッポンは、人間の気遣いさえあれば、まだいたかもしれないからだ。このままでは地球環境は床に落とした小麦粉の塊のように、バラバラになってしまう。そっぽをむいてはいられない。雨降って地固まるというわけにはいかないかもしれないのだから。私たちの未来は、私たちにかかっている。

   講評   hira

 人間は自然をコントロールし、勝手に自然界に君臨し自分勝手に振る舞ってがちな存在なのでしょうね。「私たちの未来は、私たちにかかっている」こういう主体性をもてるかもてないかが問題を解決するときに一番大切なことだと思いました。森リンの点数も驚きです。よく頑張りました!
■第一段落 ◎ 要約(感想文)
長文の雰囲気を損ねない要約、いいですねえ!
■第二段落 ◎ 体験実例 ● たとえ ◎ ユーモア表現
 最後は青臭ささも超越して(笑)、ストレス発散の域に達してしまったのですね。「血眼」「巨大なショベルカー」「嵐」と表現が読ませる力になっている。長文に出てくるおばあさんも、こんな気持ちよさを感じたのでしょうね。
■第三段落 ● 前の話聞いた話
 ニッポアニッポンは調べた話かな。これは人間による人災ですね。難しい用語もありますが、読み手にわかりやすくまとめられているところが流石です。
■第四段落 ● ことわざの引用 ● 一般化の主題
 二、三段落の実例を引きながら主題をまとめたのは上手い。まとめも厚く書けていますね。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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