創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   学問の意義   はる

 どんな理路整然とした方法論を貫かれていても、もしその歴史書がその時代の生きた人間の活動を読者の前に形象化するだけの力を持たなかったならば、それは死んだ歴史書である。日本では残念ながらこうした歴史叙述が甚だ少ない。歴史と現代とを繋ぐくさびは言うまでもなく人間だ。歴史の中の人間の動きを注目することによって、それだけ現実の人間を深く立体的に観察する眼が養われているのだが、逆にまた現実の人間を見る眼が肥えているだけ、それだけ錯雑とした歴史過程の中に躍動する人間像を浮かび上がらせる力も生まれてくるわけだ。日本に優れた伝記が極めて乏しいという事実に何より我々の人間観察力の鈍さが表れているのではないだろうか。今日の学問は、社会の問題に取り組むよりも、学問自体を目的としている面があるのではないか。(第一段落 要約・社会問題)
 そのための方法として第一に、学問事自体が膨大になり、全体像がつかみにくくなったことが挙げられる。高校レベルの科目には、膨大な数がある。英語では、英語Ⅰ、Ⅱ、グラマー、リーディング、ライティング、オーラルコミュニケーション、リスニングとがあり、数学では、数Ⅰ・A、数Ⅱ・B、数Ⅲ・Cと分かれ、国語では、現代文、古文、漢文と種類分けされ、理科では、理科総合、化学、生物、物理、地学と構成され、社会においては、日本史A・B、世界史A・B、地理A・B、公民、現代社会、政治経済とに分別されている。一教科につき、多い場合は九科目にも分けられていたのでは、とても全体像をつかむことは困難であり、1科目単位での狭い学習でしか向き合うことが出来ない。もう少し、全体の統制を重んじた学習方法を試みれば、文理に分ける必要性も無くなるかもしれない。(第二段落 原因1・体験実例)
 また、第二の原因としては、これまでの社会が、経済成長に役立つ分野以外に、学問の役割をあまり期待していなかったことが挙げられる。現在の社会においても、学歴による振り分けが偏っている。金融機関に勤めようと思う場合には、大抵、経済・経営・商学・法学部に行くことに集中する。知能面での能力は等しく、また同じ大学を出ていても、出身学部が経済学部と文学部では、きっと経済学部出身の者を採用するだろう。その道の専門を学んだ者にしか、道を開いてくれないのである。(第三段落 原因2・社会(自然科学)実例)
 確かに、学問には、その時代の社会の必要とは独立した意義もある。しかし、学問、特に社会学とは、社会についての学問ではなく、社会のための学問でなければならない。学問とは、単にその専門の知識を頭に入れるだけではなく、基礎となる知識に加え、自分の想いや行動、そしてそれに掛ける情熱を持ち合わせて、はじめて「学問」と説けるのだ。(第四段落 反対理解・自作名言)

   講評   tama

 歴史を作り上げてきたのも人間なら、学問を築きあげ、学んでいくのも人間です。その主体となるべき「人間」を無視して、学問はあり得ないということです。歴史的事実や、学問の専門性ばかりを見ていては、全体像がつかめず、何のために生き、何のために学ぶのかがわからなくなってしまいますね。
 現在の学校教育では、総合的な学習や、生きる力を育む指導を目標としていますが、細かく分けられた科目をつなぎ合わせることは難しく、今だに手探り状態が続いているようです。このあたりに鋭く切り込んだところは、さすがはるさんです。

【反対意見への理解・自作名言】 学問自体の意義について、
しっかり考えることができました。確かに専門性は必要ですが、本来の学問の目的は、社会について学ぶことではなく、社会で生きていく力をつけることであるべきですね。


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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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