創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   行間や余白の働き   ☆shooting star☆

 新聞というものをまるで読まないと言い切っている人がいる。そうかと思うと、朝手洗いで新刊書の広告を読むのが最大の楽しみだという人もいる。私はどちらの方に近いのだろうかと考えてみた。確かに、私は、新聞が一生懸命に論じようとしている主張の、あまりよい読み手ではないような気がする。たいていの場合、新聞が無名性の名において大衆を善導しようとして声高に説いている論述と、一人一人の新聞人が生きている現実のズレを、そのまま出してくれるような紙面にあまりお目にかからないからであろうか。演劇、音楽、催し、人についてなど、こうした、自分が知っているから隠れた意味が明らかになるといった事実は、なるべく宝探しのように、それらしくないところに置いてあった方が良い。多くの人が、新聞の読書欄というものをたいしてありがたがらず、本の広告の方にひそかな楽しみを託そうとするのは、そのような情報の極秘化の欲求の表れかもしれないからだ。だから、あえて大胆なことを言わせてもらえば、一年に一回か二回は、新聞休刊日の代わりに、公募して素人に編集を任せる日とか、政治面、学芸、芸能、広告といった区別を全く取り去った日があってもいいはずではないかと思われる。それこそが、縁日の中の縁日としてカーニバル的活力を新聞に吹き込むきっかけを与えるかもしれない。なので、私は行間や余白といったものにもっと目を向けるべきだと思う。
 その理由第一は、行間や余白のように一見役に立たないものが重要な役割を果たしていることがあるからだ。小学四年生のとき、私はある塾に通っていた。そこで数学を教えている先生は、よく授業を雑談で通していた。例えば、
「皆今、この立体見て何思い浮かべた?先生は、息子の使っている○○のシャンプーのボトル思い出したよ。」
と話題をいきなり切り替えると、「あ、今僕もそうおもいました!」「私も!」と、生徒が次々に話にのってくる。本来ならば、本題に戻るところだろう。しかし、その先生は、一度生徒達が盛り上がる話題に切り替えると、なかなか授業を再開しようとはせず、それどころかどんどん雑談を進めていくのだ。私は、そんな先生の話を笑って聞いている半面、勉強しなくて大丈夫なのかなあと焦っていた。しかし、そんな心配を必要とすることはなかった。なぜなら、二週間に一度あるテストで、「あ、これ先生があの話をしていたときの図形だ」「これは確か、あの話をしていたときの問題だったよな」と、先生が雑談をしてくれたおかげで、いい点数がとれたからだ。先生の雑談は、ただの雑談ではなく、勉強をオブラートとして包みこみ、記憶に刻むという学習方法だったのである。私は、勉強中にあった雑談は、学習したことを頭に入れておくための、便利な余白であり、またそれを敬うべき存在だと考えている。
 理由第二は、行間や余白というものがなかったら疲れてしまうからだ。あるデータによると、男性、女性ともに、収入増と労働時間短縮のどちらかを選ぶかという問いに対し、時間短縮を選んでいる。やはり、何時間と働いているのは辛いものだ。その中で、のんびりコーヒーを飲んだり、同僚と会話をしたりできる時間になると、ほっとする。学校に通う学生も同じように、今まで静かに勉強していたが、休み時間になると「やっと終わった〜」という気分になる。もし、休憩がなかったら、やる気も集中力も衰え、もう何も手につかない状態になってしまう。頭の中はまるで砂漠の中の枯れ木のようになるのだ。しかし、休憩があると、さっきまでだんだん枯れてきた頭の中の木も、急にまた緑を生い茂る。その頭の中の木の緑を保つためにも、人間誰しも、連続した行動には、休憩というものが必要なのだ。
 確かに、中身が充実していることは大切だ。しかし、「雑草とは、まだ、その美点が発見されていない植物のことである」という名言がある。その言葉があるように、行間や余白の存在を悔ることはできない。たとえそれがどれだけ小さく、短い内容でも、それがあるからこそ、私達の行動を楽に活性化させてくれていることを、頭に残しておかなければならない。

   講評   hoemi

《一段落目》 要約、是非の主題、ともによくできています。
《二段落目》 理由①を「余白のような一見役に立たないようなものが重要な役割を果たしているから」としたね。実例に出てくるような先生の講義の進め方は理想的と言えるね。何の他愛もない雑談に見えて、実は学習効果を高めるための余白だったといえるものね。実例の挙げ方がとても上手ですよ。
《三段落目》 収入増と労働時間短縮のデータをもとに理由②「行間や余白がなかったら疲れてしまうから」を裏づけることができたね。たしかに、人間は始終走り続けていなくてはならないとしたら疲れ切ってしまうね。生活の中にも潤いが必要だね。余白や行間とは生活の中のゆとり、潤いといえる存在だね。
《四段落目》 反対意見への理解、名言の引用もバッチリできました。☆shooting star☆さん自身、余白や行間の大切さを日々実感していることがよく分かったよ。首尾一貫した内容にまとめられていました。

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