「私の家は自動車が」の感想文。 実乃介★
私自身もコンクリートにはあきあきしていて、道ばたに草が生えている風景を心ひそかに楽しんでいた。
下水道工事が始まって地面がほりかえされ、車の震動で下水管がこわれぬようにしっかりとほそうされてしまったのだ。
ネコジャラシにスギナ、スミレもタチイヌノフグリもそれ以来路地から姿を消してしまった。
私の学校ではたまに理科の授業で草むしりをさせられるときがある。
私は軍手を手につけ、スコップを片手に、草を刈っていた。
先生は『いい雑草と良くない雑草をちゃんと見分けろ!!抜かないほうがいい雑草もあるんだからな!!」
と、私たちに注意をする。
『いい雑草』と『良くない雑草』の見分けなんかつくものか、と、私はイライラしながらどんどんお構いなく、雑草をブチブチ抜いていった。
あまりに適当に抜きすぎてしまったもので先生に
「おい、何だこれは!抜いちゃ駄目じゃないか。この雑草は抜かないほうがいい雑草なのに!」
と、怒鳴られた覚えがある。
私は説教の内容を右耳から左耳に流し、あくびをした。
そのあと、友達に聞いてみた。
「抜いちゃいけない雑草は、どんな良い効果があるの?」
『植物が良い状態で成長するとかじゃない?』
・・・果たして、そんな雑草はあるものか。
そんな私に雑草の『良さ』を教えてくれたものがあった。
一昨年、二年生の子たちと行った山での出来事である。
私は歩くのが大の苦手で、学校から三十分歩いただけでもずぐにヘバってしまっていた。
まるでゾンビのように、ヨッタヨタと力無く、足を引きずっていた。
何とか、二年生の子たちと同じ班の葵ちゃんたちに励ましを受けながら、頑張って目的地まで歩いた。
到着後、私はシートの上で休んでいた。
「あらら。みの、疲れた?いっぱい歩いたもんね。お疲れちゃん。」
同じ班で大親友のAちゃんが優しく言ってくれる。
「うん・・・もうダルくて死にそうだよ。はぁ。」
「まだお昼ご飯とレクの時間まで時間あるから、ゆっくり休むといいよ。」
「ありがとう、葵ちゃん。」
「気にしないの。それより、山の空気っていいねぇ〜。いいと思わない?」
「そうだね。確かに『自然』ってかんじがするよね。」
「すごいよね。その辺の木とか植物のおかげで、こんなに空気が美味しくなるんだから。」
「えっ、そうなの?」
「そうでしょ。」
「じゃあ、あの辺にある雑草のおかげで空気が美味しいの?」
「そうなんじゃない?」
「すごいね、それ!!!」
「確かに。短所は長所だね。」
私はとても驚いて、開いた口がふさがらなかった。
あんな雑草が空気を美味しくしてくれるなんて、知らなかったからだ。
嫌われ者の雑草がこんな役割を果たしてくれているんだと思うと、なんだか鳥肌が立ってきてしまう。
ふと、まわりを見渡すと、みんな「空気が美味しい」と言って、お腹いっぱいに山の空気を吸い込んでいる。
「雑草」っていうのは、意外とすごいものなんだな、と、すこしだけ感心した。
人間にとって、「雑草」とはあまり目立たないところで私たちの生活にとても役立っているものである。