国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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人と見た目 ニンジンスキー
リンゴに関する歴史の違いは、東西のリンゴのありように大きな差をもたらした。欧米のリンゴは小玉でも外観が悪くても、味が良ければよしとするポリシーで今日に至っている。それに対し、日本の場合は、ひたすら外観重視の「高級化」の道を歩いてきた。そうした外観への極度のこだわりは、料理を目でも食べることが身についている日本人にとって、国民性といえるかもしれない。この奇妙な日本人の美意識には、いささかの軌道修正の必要があるようだ。
私は、スーパーで気になったことがあった。もうずいぶん前の話なのだが、日本人の奇妙な美意識というものはこういうことなのかと、気付かされたのだ。それは、野菜売り場でのことだった。普段見掛けないパッケージのキュウリがあり、名前を見ると、『まがりきゅうり』と書いてある。太さはとにかく不規則で、名前のとおり、結構曲がっている。けれど普段のキュウリと味は変わらないと思い、普段のキュウリの値段と比べてみた。すると、まがりきゅうりのほうが重そうなのに、普段のキュウリのほうが高い。まがりきゅうりがかわいそうになって、母にねだり、まがりきゅうりを買ってもらった。家でスライスしてサラダにすると、味は全く劣っていず、逆においしい。さすがに縦に切ってスティックにすると不格好だが、不格好でも何も悪くはない。なぜなのだろう。見た目で値段が変わる世界はよく理解ができない。しかし確かなことは、あれ以来、ポッキリ『まがりきゅうり』を見かけなくなった事だ。
私はある時、友人に渡すものがあって、それに入れるのにちょうどいい紙袋を探していた。別にどんな紙袋でもサイズが合っていれば問題はなかったのだが、母に
「これでいいかな?」
と何となく聞いてみると、
「それはGAPの紙袋でしょう。ZARAの紙袋があったらそれにしたら。○○さんのお父さんってZARAのお仕事なさっているでしょ。」
と母。しょうがなくZARAの袋にかえて、友人に渡すと紙袋なんか気にも留めていなかった。なぜ紙袋に執着するのだろう。またある時、一応持っていくための紙袋を探していると、
「それはレオニダスの紙袋でしょ。これにしなさい」
と母。差し出されたのは紙が薄い紙袋(しかも結構折れている)。別段気にしようとも思わなかったが、なぜレオニダスではいけないのだろうか。これでは鎧を着た兵士も泣く。
日本人にとって外見とは、たくさんあるものの中から選ぶ時の手段だ。なぜならリンゴにしてもきゅうりにしても、すべて同じものはないからだ。紙袋は・・・気分だが。
講評 hira
相手を思うばかりにか日本人は外観にこだわる傾向があるようです。思いやりとして評価できる部分は大いにありますが、長文にもあるように美意識の軌道修正が求められている部分も否定できませんね。「美」を求めすぎる私達の意識を変えていかないと、売り手も変わらないでしょう。しかし、紙袋はストックしてしまうなあ(笑)。
■第一段落 ◎ 要約(感想文)
安定感のある要約です。
■第二段落 ◎ 体験実例 ● たとえ ◎ ユーモア表現
「まがりきゅうり」お母さんにねだって買ってもらったのですね。「かわいそうになって」というところがニンジンスキーちゃんらしいなと感じました。「まがりきゅうり」は味もよかったとのこと。「まがりきゅうり」もいい人に買われて幸せだと思います。「まがりきゅうり」を主人公にして、中味の大切さについて啓蒙絵本にしたいようなエピソードが書けました。
■第三段落 ● 前の話聞いた話
これは私もなんとなくあります。「レオニダス」知らないなあ、地方暮らしはだめだなあ・・・とすっかり外観重視になっている自分に気付きました(笑)。最後の一文がピリッと効いている。
■第四段落 ● ことわざの引用 ● 一般化の主題
これも最後の一文がクスリと笑えていい味。もう一、二文、主題を補足してみるといいよ。
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