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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   言葉の意味を決める   意気陽陽

イヌのことをイヌと呼ぶのは適当に決まったのである。別の表記、たとえば、イコでもイポでもよかったのだ。これをコトバの(表記に関する)恣意性と言う。世界は連続的に変化する。我々はそれを適当に切り取って、コトバで言い当てようとする。コトバによる世界の切り取り方には根拠がない。コトバが同じなのでコミュニケーションができるのではなく、コミュニケーションができるので、コトバが同じであるかのように錯覚されるに違いない。我々の日常の世界では、コミュニケーションが成立すれば、イヌとは何か、ということが定義できなくとも、別に問題はない。
 僕は言葉はきちんとした意味を決めて使っていくべきだと思う。その理由は二つある。第一の理由として、きちんとした意味が決まっていないと、自分の思っていることを相手により伝えにくくなるからだ。例えば国語の長文読解問題で、「Aさんのその時の心境を考えて書きなさい」という問題があったとする。「文中から抜き出して書きなさい」なら答えやすいのだが、「考えて書きなさい」の場合自分で言葉を選びながら書いていかなければいけない。そのような時にどう表現したらよいのか困ることがよくある。そのような時に言葉のきちんとした意味が決まっていると、とても答えやすくなると思う。また、僕は縄跳びがとても得意で、小学生の時によく低学年の子から二重飛びの方法などを聞かれた。その中には「どうやったら跳べるようになるの?」「コツは?」などと聞いてくる子がいた。僕は小学三年生の冬に突如二重飛びができるようになったので、コツなどを聞かれても答えにくかった。そのような時に言葉のきちんとした意味が決まっていたら、より多くの子が二重飛びを出来るようになっていたと思う。
 第二の理由として、きちんした言葉の意味を決めないと、自分が言ったことが相手に違う意味でとらえられてしまうかもしれないからだ。日本語には同音異義語というものがたくさんある。「橋・箸」「雲・蜘蛛」「参加・賛歌・酸化・傘下・惨禍」「更生・校正・恒星・更正・構成・公正・攻勢・後世・抗生・後生」など例を挙げていけばきりがないほどたくさんある。「電子メール、携帯メールの方が気持ちを伝えやすいか」というデータでは、64%がNOと答えているように、話す方が書くよりも重宝されている。このような言葉をうまく使いこなしてきた日本人を僕はすごいと思う。文などで書く場合は漢字という便利なものがあるので大丈夫なのだが、話をする時などは間違った意味でとらえてしまうことも少なくはないだろう。また、日本語にはあいまいな言葉も多い。「微妙」「別に」などがよい例だと思う。「今日、調子どう?」と聞いた時に「微妙」や「別に」などと言われても困ってしまう。微妙と言われても、悪いのか普通なのか分からないし、別になどと言われてもどういう意味で受け取ればよ言うのかさっぱり分からない。
 確かに言葉の意味をあいまいにすることにより想像力も働くようになるかもしれない。しかし、「鋭い刃物ほど安全である」という名言もあるように、きちんとした意味を決めた言葉の方が相手に自分の気持ちを的確に伝えることができるので、あいまいな言葉をなくすようにしていくべきだと思う。

   講評   sugi

 意気陽陽君の感想文を読むと、具体例を挙げることが重要だということを、あらためて感じさせられます。第二段落で挙げた具体例は、どちらも効果的で、内容も興味深かったよ。読解問題とは中学生らしいユニークな視点。縄跳びの話も、ぴったりの言葉が見つからないという、いい例だね。
 第三段落では、同音異義語について書いてくれたけれど、「橋・箸」という簡単な例から始まって、「更生・校正……」と延々と続く例を最後に入れたのがおもしろいね。この段落では、データ実例もうまく入れることができました。
 同音異義語のようなあいまいさについては「このような言葉をうまく使いこなしてきた日本人を僕はすごいと思う」と前向きにとらえているのに対して、「微妙」「別に」のようなあいまいさには、批判的な姿勢をはっきり打ち出すことができたね。
 「言葉のきちんとした意味が決まっている」という表現には、大きく分けて「日本語の言葉のあいまいさ」の問題と「言葉を使う人の国語力」の二つの問題が含まれているね。それぞれの段落で、このどちらの問題に重点をおいているのか、はっきりさせるとさらによくなるよ。

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