国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   雑草   ゆっき

私の家は自転車がやっと通れるぐらいの路地に面している。都会には珍しく舗装されていず、道端には草が生えていた。隣近所には古い家が多くて、敷地からはみ出した樹木の茂みが路上に日陰を作った。ここは、近所の子供たちの溜まり場でもあった。何を彼らをこの路地に惹きつけたのだろう。女の子や小さい男の子が草の葉っぱを引っ張っているのを私はよく見かけた。彼らはこの路地で地球のかけらを発見していたのではないだろうか。ある秋、黄褐色に熟していたエノコログサを眺めえいると隣のおばあちゃんが近づいてきた。片手には花バサミを持っている。
「ちょっとネコジャラシをいただきますよ。お花の材料に。それにしてもこんなところに生えているなんてねえ。」
と感心している。私はすっかり隣のおばあちゃんに仲間意識を持った。しかし程なく人間とは矛盾した生き物であると証明される出来事が起こった。翌年の春、私の家の前にスミレが咲いた。来年はもっと増えるだろう、と密かに楽しみにしていた。ところがある日外出から帰ってくるとスミレがない!そういえば出かけにおばあちゃんがほうきとちりとりを持って立っていたので、挨拶を交わしたのだった。清潔好きのおばあちゃんは、自宅の前から私の家の前にかけて草むしりをしてくださったのだ。
 私は、学校で草むしりをした時タンポポが地中に深く根を張っていてなかなか抜けずに苦労したことがある。タンポポは地中に約一メートルにもなる根を張るからすべての根を抜くには、一メートルも畑を掘り返さなくてはいけないということになる。しかし一メートルも土を掘るのは大変である。なので、三十センチメートルほど掘ったところで引っこ抜いてしまった。しかしその努力はむなしくまた雑草が生えてきてしまった。中でも抜きにくい雑草はスズメノカタビラと言って小さいうちは抜きやすいけれど、大きくなるにつれて根が増えて抜きにくくなってしまうのだ。スズメノカタビラは土の上ならどこにでも生えることができるので小さいときに抜いておかないとすごく厄介なことになってしまう。私はそのことを知っていたのでスズメノカタビラを片っ端から抜いた。いくら抜いても、雨が降ればまた生えてしまうが大きくなってしまったスズメノカタビラを抜くよりはまだ楽だ。
 私の家の隣は空き地になっている。空き地には、沢山の雑草が生えている。シロツメクサ(クローバー)からスズメノカタビラまで多種多彩である。私達の家では、お隣さんとして、その空き地の雑草を抜いてあげたりする。抜く雑草は、あまりかわいくない草や放っておくと後で抜くのが大変な草である。ハルジオンなどが代表的である。また地主さんには秘密で菜の花の種や、カスミソウの種をまいた。
「大きくなるといいね」
そう言って種をまいた。シロツメクサ(クローバー)もきれいな花を咲かせていた。シロツメクサ(クローバー)の葉っぱの四葉のクローバーを探して、妹と競い合ったりもしていた。赤紫色のスミレも咲いていた。
「増えるかなあ」
と妹と弟と父と一緒に楽しみにしていた。だんだん空き地は華やかになっていった。しかし空き地の平和も長くは続かなかった。なぜかというと地主さんが、除草剤を撒いてしまったからである。私達はとても悲しかった。抜くのが面倒なのは分かるけれどそれはひどいと思う。緑の多い町では、悲しいけれど雑草は邪魔者扱いされるだけなのだ。その事件があってから日に日に枯れていく雑草を見ていると、ブルーになってしまった。私は地主さんが除草剤を撒いているところを見たことがあるので、その時止めておけばよかったと思った。後悔先に立たずである。
 人間にとって雑草とは、緑の少ないところでは、自然を感じる物となるが緑の多いところでは、厄介者扱いされるということが分かった。しかし私には、雑草と雑草じゃない草の区別がつかない。

   講評   inoko

 ゆっきーさん、こんにちは。
舗装されていない道が当たり前だった私の子ども時代。雨が降るとぬかるんで、長靴でビチャビチャと遊びながら帰るのは楽しかったっけ。逆に、お気に入りの洋服に泥はねがついてしまい、悲しい思いをしたこともあります。それ以降は、はねを上げないようにするにはどうしたらいいのか、いろいろ試したものでした。今はそんな苦労をすることはなくて快適ですが、足の裏に感じる土の道の感触は、自然とのつながりを感じさせてくれていたのですね。そう考えると、今の私たちの生活からは、大切なものがいろいろ失われていることがわかります。
☆ 除草剤の話は、なんてひどく悲しい話なのでしょう。だんだんと華やかになるその空き地は、地主さんの目には、どう映っていたのでしょう? 人間の価値観の違い。人によってどこに着目するかが違うことのあらわれですね。何が雑草で何が雑草ではないか。これは、人間が勝手に区別しているだけのことです。草の世界では、そんな差別や区別などないと思うのですが……。



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