国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   疑問を感じない日本人   かおや

 先生が生徒に何か質問はあるかと問い掛けるが、手を挙げるものはほとんどいない。これは、日本の学校ではよく見られる光景である。それに対し、アメリカなどの欧米諸国では、先生から問い掛けがあると、生徒は我先にと手を挙げるものだ。欧米人が好奇心旺盛で疑問を多く持つのに対し、日本人は物事に対して疑問を感じることが少ないようだ。疑問を持たないということは、物事を全て鵜呑みにしてしまうという非常に危険なことである。我々日本人は、もっと物事に対して疑問を持つべきである。
 そのための第一の方法として、まずは、自分の身の回りにあるものをあらためて見直してみることだ。身近な事でも、意外と深く考えさせられるものがある。私もいつも疑問に思っていることがある。私の家のお風呂は、自動でお風呂を沸かしてくれるという優れものなのだが、どうしても仕組みがわからない機能が一つある。それは、足し湯というもので、減った分のお湯を足してくれるというものだ。私は一体どうやって、足す湯の量を測定しているのかが理解できない。お湯の重さだとすると、人が湯船に入っているときと、そうでないときとでは、結果が変わってしまうし、流された水量だとすると、シャワーを使ったときに結果が変わってしまう。このように、自分の身の回りにも、疑問を感じられるものは多くある。身近なものに対する疑問を持つことができるようになれば、自然とその他のものに対しても疑問を持つことができるようになるはずだ。
 第二の方法として、学校における教育で考える力を育てていくことだ。日本の学校で教えられる数学は、とりあえず公式を教えて、あとは演習ばかりということが多い。いきなり出来上がった公式を与えられるのだから、公式について何ら疑問を感じることは無いし、それについて考えることもない。問題を解くときも、とりあえずどの公式を使えばいいのかということだけを考えて、その問題について深く考察することも無い。つまり、日本の教育では、答えを出すということばかりを重視しているため、考える力が育たないのである。数学で言うならば、公式はいきなり教えるのではなく、自分で作らせるべきである。物事に対して疑問を多く感じるか否かは、考える力によって左右されるものであるから、まずは、考える力を育てることから始めるべきだ。
 確かに、物事に疑問を感じないという、ある意味素直とも言える日本人の気質は大切にするべきかもしれない。しかし、素直さというものは、無条件に良いものではなく、ある種の罪である。素直に人の言うことを何でも聞くということは、自分で考えることを放棄して、全てを他人に委ねてしまうということだ。国際化が進む現代においても、素直さというものは弱みとなる。他国の言うことに疑問を持たず、素直に従っているばかりでは、いいように利用されてしまうだけだ。他国の言うことに疑問を持って接し、自分の思うことを主張できないようでは、日本は国際社会で出遅れてしまう。いつまでも、アメリカさんと一緒でいいです、とばかり言ってはいられないのだ。

   講評   nane

■2.3週のコメント
 最初の実例が具体的。自分の体験ということがわかるように書いていくといいよ。更に、「私の経験した範囲で言えば」のように謙虚に書けば、更に説得力が増す。
 「大勢の参加による混乱を恐れない」は大事な考え方。世界はますます多様性に満ちたものになる。そのときに、一部の人が閉鎖的に決めたことを多くの人が従うというスタイルは無理になりつつある。民主主義は混乱も生み出すが、その混乱が実は、真の安定に基盤になる。これからは、すべてオープンにやることを前提にしていく必要があるね。
 反対理解の「確かに、多くの人が参加するより、一部の人が勝手に物事を進行させるほうが、面倒が少なくて良いかもしれない」は、ちょっと弱い。既にこの表現の中に、「あまりよくない」というニュアンスが入っているので、反対意見との対比がはっきりしなくなる。もっと強くいい面を書いていくといいよ。
 結びに、ひとこと名言を入れよう。

■4.1週のコメント
 冒頭の問題提起がわかりやすい。
 足し湯の例は、具体的。よく思いついたね。できれば、そこから新しい発見があったところまで書こう。こういう話は、いろいろなテーマで使えるから、いつかもう一度例を考えてみるといいよ。
 数学の公式と実際の例は、いいアプローチだけど、具体例がもう一息。先生の経験だと、二次方程式の解の公式は、因数分解で出す答えよりも、実は現実生活でははるかに応用が広いことがわかったことがある。学校では、すっきり美しく解ける問題ばかりを出すから、現実世界もついそうだと思ってしまうが、現実の世界は、因数分解のすっきりさよりも解の公式の泥臭さで解くものの方が圧倒的に多い。
 結びの意見は、否定形でまとめるよりも、肯定的に新しい展望を提示するように書こう。
 「素直に人の言うことを何でも聞くということは、自分で考えることを放棄して、全てを他人に委ねてしまうということだ」は、内容的に名言になっている。

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