国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   サングラスの役割   すいーとぽてと

 最近はサングラスをかけて街を歩く人々の姿は普通に見られるようになった。しかし、サングラスの「隠れ蓑」としての役割はまだ残っているようだ。サングラスをかけることは、なんとなく世間から一歩退いて、それらの害の及んでこない安全地帯を、ひっそりと歩み去ることができるような気がする。恐らく、我々の内にある自閉的な傾向がそれらを心地よいと感じさせるのであろう。しかし、だとすれば我々は現在、人に見られ、批評され、こちらもそれを返すことによって形づくられていた対人関係のわずらわしさから、一斉に逃避し、自分自身の内側へこもり始めたのであるといえる。私たち現代人が自分個人を隠すようになったのは問題である。
 そのための第一の原因として、私たちの生活において、プライバシーの意識が高まってきたことである。以前家庭科の授業で、住居の移り変わりについて勉強した。昭和時代の前期まで、日本では家にプライバシーというものが無かった。明治時代では、お客さんを第一に考えていて、普段そこで生活する家族にとってはあまり過ごしやすいとはいえないような間取りであった。その後部屋ごとの独立性は保たれるようになったが、ここでもまだプライバシーの意識は低かったようだ。プライバシーを重視するようになったのはまだ昭和時代の後期からのことだ。戦後の経済成長の影響で、人々の生活が安定してきた。それによって意識も変わり、今までより自由になったのだろうか、その頃から、子供部屋などの個人の部屋が作られるようになった。今の私たちの生活では、自分の部屋は持っているのが普通にまでなってきた。現代の生活に慣れていると、一人だけでいられる時間が無くなるということは耐え難いことのように思える。しかし、ずっと自分の部屋にこもりっぱなしでは、家族と話すのもよそよそしくなってしまうような気がしてならない。逆に私はずっとリビングを離れず、早く勉強してきなさいと叱られるが。(笑)自分の時間を大切にすることも良いが、人とコミュニケーションをとることで学ぶことも沢山あるので、自分の殻に閉じこもったまま生活することは、もったいないことだと思う。
 そのための原因として第二に、私たちの住む社会が、個人の権利を侵害するような事例が増えてきたことだ。今の日本は情報化社会と呼ばれ、私たちの身の回りには沢山の個人情報が飛び交っている。それによって私たちの生活は本当に便利になったが、情報を悪用する人も出てきてしまった。私が小学校の頃は、毎年クラスの連絡網と一緒に住所録も配られていた。しかし、中学校に上がってからは連絡網しか配られないようになった。また、連絡網を年の終わりに回収するようなこともでてきた。このようなことや、個人情報保護法という法律が作られたことからも、個人情報を目的以外のことに使う人が増えてきていることがうかがえる。一人一人が、いつ個人情報が流出するか分からないという意識を持ち、自分の情報を自分でしっかりと管理するよう心がけなければならない。
 確かに、人の目を気にせずに生きていくことは望ましいことだ。しかし、自分の内にこもるということは、周りの目を気にしていないのではなく、人と関わることを逃げているだけだ。だから、私たち現代人が個人を隠さなければならなくなった社会は問題だ。

   講評   kira

 すいーとぽてとちゃん、こんにちは。自分で自分を隠して守る社会は問題ですね。サングラスから個人情報へと展開する文章は、書いていて面白かったでしょう。
 社会が個人から構成されるものと考えられる近代となって、必然的に生活も個別化してきました。精神的になじむか否かを問う暇もなく、衣食住が個人のものになってきましたね。すいーとぽてとちゃんは、コミュニケーションを楽しむ派なのですね。
 そして情報化にともなって、個人の情報を自己責任で守っていく必要も出てきました。連絡網や名簿にはみな拒否反応を示します。住民基本台帳は出来上がっているのですよね。確認したことのない私はときどき不安になります。
 古きよき時代には、隣近所のことはわが家のようにわかっていたものです。そんな時代に戻ることは出来ないでしょうけれど、責任ばかり問われたり、また匿名性に怯えたりするような今の風潮はなんとかしたいものですね。

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