低学年から学力の基礎を作る
幼長、小1、小2、小3の基礎学力をひとつの講座で学ぶ。
読書の習慣、国語算数の勉強、暗唱の学習、創造発表の練習をオンラインで。


昨日2259 今日503 合計5375
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   ネガティブなんて、吹き飛ばせ!   ふえふきねこ

 私は小さい頃、家の近くを流れる渡良瀬川から大切なことを教わっているように思う。ある日、私は岸のそばの浅い所で遊んでいたが、どうしたはずみか中央に行きすぎ、気づいた時には速い流れに流されていたのである。何とか頭を使って下流に泳ぎはじめると、川の勢いは普通に戻ったので、恐ろしかったあの流れから、脱出できたことの喜びに浸った。動けなくなって、この出来事を思い出したその頃から、私を支配していた闘病という意識が少しずつうすれていったように思っている。
 私がこの話を読んで、一番拍手を送りたくなったのは、星野さんが川に流された出来事をきっかけに、新たな気持ちになったことだ。全く動けなくなれば、いくらポジティブな人だって、青菜に塩をふりかけたように、しおれてしまうに決まっている。単純な答えだ。立ち直る人もいるだろうが、生死がかかった恐ろしい出来事をバネに、がんばろうという気持ちになれたのは、世界広しといえども、数少ないだろう。むしろその出来事がトラウマとなり、一生抱えてしまう場合もあるかもしれない。意外で、しかも他人には簡単に真似できない立ち直り方に賞をあげたいくらいだ。私なら、心の底に沈めてしまうだろうに。立場を逆転すると、こんなこともできるのか、と改めて拍手を送りたいと思う。
 私はバドミントンをやっている五年生の中でも、自力で勝てない子供である。ダブルスでは相方にたより、シングルスでは相手が強いショットを打たぬようにと祈るばかりだ。試合では筋肉がしぼんだ風船のようにちぢこまり、背中にゾクゾクと寒気が走る。そして大抵はあっさりストレート負け。相方はよくがんばっただろうに、私はただただぶるぶるふるえているだけ。しかも緊張の元となる親が来ていないから
「おやおや?」
となってしまう。それを見かねたチームメイトがみんな一人ずつ、
「ドンマイ、ドンマイ。」
「これから、これから。」
「球をよく見て、落ち着いて。」
とはげます。するとむねの中に白湯を注がれたようにあたたかくなる。
「くよくよしていては、だめだ。今は勝つことだけに集中しよう。」
次の試合ではもち米のように粘った。とりもちのように粘った。粘って、粘って、粘り続けたけれど、むなしく一点差で敗北。しかし後悔はどこにもなく、心の中はすんだ青い空のように晴れわたっていた。サトリというものを開いたのだ。バドミントンを通じて、仲間を通じて。相方を信じ、戦い続けたから。
 横だおしになった自転車、じんわり浮かぶ涙。自転車で転んで骨にヒビなんて、何ともろい骨だろう。
「乗り方がいけなかった。」
「もっと注意をすれば……。」
とくやむけれど、骨折と分かっていてはあとの祭り。
「うう、左手が使えず、不便だ……。」
との思いを毎日しつつ、生活していたが、私の体にスポットライトを当てる、本に出会った。
「体はエライものです。すりむいて血が出ればかさぶたを作り、バイキンが入った時にはくしゃみやせき、鼻水などにして出してくれます。だから、毎日体にありがとうを言いましょう。」
と。考えてみれば、骨折というものの中にも、不幸中の幸いがひそんでいた。
「利き手は右手。動かなくなったのは左手。だからご飯も食べられるし、文字も書ける。」
「足だったら歩けないし、松葉づえは面どうだ。手だったらギプスですむ。」
いくつもいくつもうれしい点があった。私は体にありがとうとくり返し、その本にも感謝した。そして右手や足をかばって骨折した、左手にも、心から拍手を送った。
 どんなどん底に落ちても、気持ちを切りかえれば乗りこえることができる、ということが改めて分かった。先日、私のそう祖父が百一歳で亡くなった。私はしばらく悲しみにあけくれていたが、
「百一歳まで生きたんだ。ちゃんと順番を守ったんだ。」
と思うと、そう祖父が急にい人のように思われてきて、
「私もがんばろう」としみじみ思えた。身内の人が亡くなって、くよくよするのは大勢の人たちだ。しかしそういう時こそどーんとかまえて
「くよくよするなら供養が先だ」
と冷静になると、たい度も世の中も変化してくると思う。何より、世界中が笑う方がいい。涙よりも、笑顔である。ネガティブよりも、ポジティブだ。人間は誰でも落ちこみ、くよくよし、後悔する。しかし、出口を見つけてはい上がるのが、本当の強さではないだろうか。暗い所から、明るい所へ出たとき、重くて黒い雲が晴れわたり、すみわたった青い空が顔をのぞかせるだろう。

   講評   kaki

 そのまま書き写すのではなく、内容を見直して清書ができたね。字数が200字以上アップしたね。パソコンに入力してくれたお母さんの手は痛くなってしまったかしら(笑)。 前より、ぐっと良くなりました。「私の体にスポットライトを当てる、本に出会った。」という文が光っているね。


毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)