国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

昨日3224 今日2 合計55562
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   低気圧の名前   一休さん

 名前のない子と聞いて人々はどう思うか。大半が悲しみその子を哀れむだろう。それは名前には他と区別する手段でありと同時にその個性を示す力があるからである。また、現代では新しい星座や原子、低気圧といった様々なものに自分の名前をつけられ、歴史の教科書などを見ても分かるように名前は後世まで知られる可能性が大いにある。人々は己の存在を示したり栄誉を受けたいという思いから必死にそれらを探しているのだ。だから名前の存在は極めて重大であるといえよう。ところが私たち日本人は名前すなわち固有名詞に対する考えが非常に甘いと言わざるを得ない。呼び名が日本海から東海へ変わることをまるで危険視していないのだ。だから私は日本人が固有名詞を重視しない点が問題であると思う。
 その第一の原因は固有名詞の働きを理解していないことだ。また例として名前を出すが、これは人間関係の形成に大いに役立っている。人間の心理の話になるが、人は自らの名前を覚えてくれた人に対して親近感を感じるようにできている。(自然科学)実際、ある高級ホテルのボーイは宿泊者の名前を覚えるように教えられていて、お客から好感を抱かれているという事実がある。私自身も自分の名前が認識されれば単純に喜ぶ。やはり親が子供に名前を与えるように固有名詞には愛がこもっているに違いない。
 その第二の原因は歴史的背景にある。江戸時代までの長い間、日本人は必ず人の名前を覚えた。その人を呼ぶ際に困る上に、人付き合いが極めて重要なご時世であったためである。(織田信長は羽柴秀吉をサルと呼んでいたが・・・)(笑)ところが開国して明治時代を迎えると個性重視の傾向によって、人間関係も希薄になり隣の人の名前は愚か、顔すら知らないこともあるようになってしまった。また私たち日本人は第二次世界大戦時に韓国人から名前を奪った経験はあるが、名前を奪われた体験はない。他国から攻撃を受けたが、文化的遺産を破壊されたことはあまりない。これらの歴史的事実が人々の頭から固有名詞を離れさせ、当然それはあって然るべきものであると認識させたのである。
 確かに現在はプライバシーというものがあり、それを守る傾向がある以上、あまり固有名詞を重要視しないことも仕方が無いといえよう。しかし人々は固有名詞にはそれぞれの価値が秘められていることを忘れてはならない。例えば、チョモランマ山は地元の人が愛着をこめて名付けたものだ。この偉大なる山を見て人々は未来を見据えて生活を営みつづけていた。にもかかわらず、よそ者のイギリスがエベレスト山と名付けてしまった。地元の人々がどれだけの心の傷を負ったか計り知れない。日本の固有名詞にも先人が培った文化が詰まっている。これを今の私たちがなきものにしてはならない。「固有名詞は人が区別してできた言葉ではなく、特別な意味をもって自然に卓越した言葉なのだ。」(名言)だから私は日本人が固有名詞を重視しない点が問題であると思う。

   講評   nane

 社会問題は、自分の問題として考えるのが問題意識を高めるコツ。
 固有名詞の問題は、人間関係の中では実感することもあるが、それが実は国際社会の問題としても重要だったということ。
 日本人が自分の名前を言うのを否定されて、今日からジャックにする、などと言われたら、やはりアイデンティティが失われるだろうからね。
 日本は、敗戦を経験したけど、無理矢理外国に占領されたという実感があまりない。それだけに、自分たちの民族の自覚というものが育ちにくかったのかもしれない。
 「固有名詞は人が区別してできた言葉ではなく、特別な意味をもって自然に卓越した言葉なのだ」は、意見と同じ表現なので、もう一息。「固有名詞の固有性とは、他と区別するための固有性なのではなく、自己が自己であるための固有性なのだ」など(笑)。
 今日のテーマはまとめにくかった。
 しかし、ここに書いたことを自分が使える実例として蓄積しておき、ほかのテーマのときに応用できるようにしておこう。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)