低学年から学力の基礎を作る
幼長、小1、小2、小3の基礎学力をひとつの講座で学ぶ。
読書の習慣、国語算数の勉強、暗唱の学習、創造発表の練習をオンラインで。


昨日2426 今日1353 合計53689
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   他者への気配り   すいーとぽてと

 私の知っている痛みはただ私自身が感じるものとしてのものである。それを他人に移植する、つまり他人がそれを感じると想像することは実は不可能なのではないか。私は他人が私の経験に似た経験をしていると想像しているつもりでも実は想像しているのはその他人になり変わった私自身なのではあるまいか。私に想像可能なのは、彼の立場にある私の痛みであって彼の痛みではない。人が激痛でうずくまり冷や汗を流している。この状況の中で、彼になり変わった想像上の私が、彼を眺めている私と苦しそうな彼との間を飛び交っている。だからこの飛び交いが失われたならば私にとって彼は「人」でなくなる。そして私の方は離人症と言われるだろう。現代社会において、他者の痛みを理解できない人間が増えていることは問題だ。
 そのための第一の原因として、他者との関わりが少なくなってきたことが挙げられる。現代の社会では核家族化が進み、また近所の付き合いが以前に比べて減ったと言われている。以前家庭科の授業で、核家族と拡大家族について調査したところ、おじいさん、おばあさんと暮らしている人は四十人以上のクラスで三人ほどしかいなかった。そして、共働きの家庭も多かった。さらに、都会化が進み、子供たちの遊ぶ場所も減ってきており、そのためにテレビゲームなど室内で一人で遊べるおもちゃが普及した。私が小学生の頃は、家のすぐ近くに公園やプールがあったので、外でも遊んでいたが、友達の家に行ってゲームをすることも多かった。一家に一台はゲーム機があったように思う。しかし、ただでさえ周りとコミュニケーションをとる機会が少なくなってきているのに、外に行かず室内でずっと遊んでいるのではもったいない。ゲームをする時間を人と関わる時間に変えたら、もっと他者の気持ちを感じ取ることができるようになるではないかと思う。
 そのための第二の原因は、子供時代に必要以上に甘やかされて育ったことにある。今の日本の社会では、少子化が問題となっている。そのため、一人の子供にお金をかける傾向がある。毎日習い事に通ったり、値段の高い子供服を買ってもらったりと、やりたいことは何でもできる。そのため、ものごとを自分中心に見てしまうのだろうか、自分以外への想像力が育たなくなってしまう。中国でも、一人っ子政策が進み、一人の子供を大変可愛がる。彼らは小皇帝と呼ばれているが、その名の通り親は甘やかしすぎるので、反抗期も無いというのを聞いたことがある。もちろん皆が皆そうというわけではないだろうが、それが一般化してきているということは、これから先他者への心配りのできる人がかなり減ってしまうと思う。愛を持って子供を育てるのと、甘やかすのとは全然違うことである。その区別をはっきり持って子供を育てるべきだ。
 確かに、他者の痛みを過剰に感じることで偏った信仰に走ることは避けるべきだ。しかし、人は機械のように無表情で生活するものではなく、誰もが常に感情を持って生活している。自分以外への心配りができないと、うまくコミュニケーションが取れなくなってしまう。だから、あまりにも他者への配慮がない現代社会は問題である。

   講評   kira

 すいーとぽてとちゃん、こんにちは。今回のテーマは、長文を読まずとも想起される今の社会の根深い問題点ですね。隣人問題やゴミ屋敷問題や騒音問題といった、迷惑をかえりみない事件が散在します。これらは、他者への想像力があればすぐに解決しそうです。
 原因を複数挙げ、その裏付けに核家族化や少子化といった社会問題をあげることができました。経済発展のめざましい中国の話題を挙げたのもいいですね。ただ、両方の内容が同様に子どもの話になってしまったので、人間対人間の関わりが薄れた原因の方では、大人の問題をあつかってみるのもいいですね。
 最後の自作名言を「社会とは」でひねってみることで、目指すべき社会のありかたも示すとよさそうです。


毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)