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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   ステンレスと木   かつさ

 今でも普通「家具」といえば日本人の多くは木製のものを想像するだろう。ステンレスが私たちの生活の中に登場してくるまでは、テーブルも箪笥も棚も、すべてが木製であり、木と人間は、生活の至る所で共存してきた。つまり、自然と人間の距離は今よりずっと近かった。しかし、技術の発達と共に、徐々に自然と人間の距離が広がっていくのが現代である。人工物が生活の中に進入してくるそのペースはあまりにも速い。さすがにその速度にたじろぐ人が多いのか、最近ではまたレトロなライフスタイルが流行っていたりする。
 人々がこのように、人工物をどこかで敬遠し、あえて時代の流れに逆らって自然に触れようとするのには、やはり、自然がもたらす安心感というものがあるからだろう。この地球を構成してきたのはあくまでも木や土や川であり、ステンレスではない。人間もこの地球に生きる個体である以上、反自然的なものにはやはり抵抗があるに違いない。オフィスビルが整然と並ぶ町中であっても、絶対と言っていいほど街路樹や花が植えられているのは、なにかしら自然の「癒し」が人間には必要だからであろう。直線や円などの幾何学模様で表せない自然の「無駄」な感じが、人間の心にゆとりをもたらすのである。
 では反対に、その敬遠されている人工物が果たして悪いものなのかといえば、私は決してそうも思わない。さまざまな場面で登場する人工物のおかげで、私たちはどこへだって行けるし、遠く離れた人でもネット上で会話ができるような世の中になった。これは明らかに昔よりも便利でいい世界だと私は思う。今の人々がなぜ人工物に支配される生活を嫌うのかといえば、それは「昔は無かった」からに他ならない。かつて空想でしかなかった飛行機が、今では平然と空を飛んでいるを誰も不思議だと思わない。それと同じで、いつかは今の生活全てが「普通」になるのは間違いない。ステンレスの家具に安らぎを感じる世の中がいつかは来るかもしれないのである。
 結局、自然を愛して木製の家具で家を埋めるにしても、ステンレス家具でスタイリッシュに部屋をまとめるにしても、そんなものは人の好みで決めればいい。大事なのは「排他的」にならないことだ。自分が好きなこと以外をなんでも拒絶するのではなく、「何でもありだ」という寛容な心持で無ければならない。人間はその誕生以来、高い知能をもってして偉業をいくつも成し遂げ、革新的な存在であったはずなのに、それ自身の心はずいぶんと保守的なものになってしまった気がする。今私たちに足りないのは、他を認め、受け入れることである。それさえ出来れば、どんな家具で家が飾られようと、落ち着いた生活が送れるはずなのである。

   講評   nane

 さすがに文章力があるね。語彙の密度が濃いので、読む力もあることがよくわかる。
 「ステンレスの家具に安らぎを感じる世の中がいつかは来るかもしれないのである」は、自分らしい発見。論理的に考えると、そういうことは当然言えるものね。
 「好みで決めればいい。大事なのは「排他的」にならないことだ」も、いい総合化。
 「好みで」ということだけを強調すると、次元の高い総合化にはしにくいところだけど、「排他的にならない」と付け加えたことで、納得できる総合化になった。
 これぐらい書ければ小論文は大丈夫。あとは、難しい本を読んで、更に読む力をつけていこう。


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