創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   危うい忍耐力   くるりんぱ

役者の足の動きには、人の心を奪う異様な力がある。その力は、型へ体をはめ込むことによって型をこえる美を表現する力が生まれるのである。この身体の思想は西欧近代の精神と肉体の二元論とは、全く対照的なものである。日本人は精神と肉体が全く別の次元にあるのではなく、現実の肉体をこえてあらわれたもう一つの身体に精神性があると考えてきた。それにもかかわらず最近は、身体の問題を軽視しがちな風潮があることは問題である、と私は思う。
その原因としては第一に、日本も西欧にならって精神的な論理重視の世の中になったからである。二十年近くも前の話だが、アメリカのカレッジで学生たちがガムを食べたり、ジュースを飲んだりしながら授業を受ける様子にとても驚いた。私が小さい頃から叩き込まれてきた常識では、考えられないことであった。勉強を教えてもらう立場の生徒ならば、威儀を正して座り、全身全霊を傾けて教えを請わなければならない、はずである。頭の中は授業に集中するのはもちろんのこと、多少窮屈な状態は強いられるが授業を受けるのにふさわしい態度でいることが必要であるとずっとおもってきた。一方、現代の日本の子どもたちはどうだろうか。私は高校で教鞭をとっているが、今の子供たちはまさに二十年近く前のアメリカに近付いてきたと感じる。さすがに、堂々と飲んだり食べたりはないが、板書している時や教科書に目を落として説明しているときにちょこちょこと飲み食いをすることは、日常茶飯事である。何かを食べたり飲んだりしていることは心の乱れを意味し、真面目に取り組んでいないと昔の感覚の私は感じてしまう。しかし、生徒たちは頭の方では授業をきちんと聞いているから問題ないと反論してくる。きちんと授業を受けるふりをしながら、頭は別のことを考えている生徒のほうが立ちが悪いという詭弁を言う子もいる。このように、何かをやり遂げるためには心も身体も一緒に立ち向かっていくべきであるという流れはすっかり影をひそめてきたことをひしひしと感じる。
もう一つの原因として、効率主義の世の中になりすぐに成果が求められるようになったことが挙げられる。先日、若者の就職斡旋に携わっている方の講演を聞く機会があった。それによると数年前に比べて就職後の離職する年数にあたる七五三が崩れつつあるとのことであった。七五三とは大卒、短大・専門卒、高卒の就職後の平均離職年数であるが、これが最近ではもっと短くなってきたそうだ。離職の理由は千差万別だそうだが、なかでも、この仕事は自分は向いていない、という理由が多いそうだ。昔とちがって企業側も余裕がないために、新入社員にすら即戦力を求めてくることが多い。そのため、技術のない者や強い意志力をもたない者はすぐに弾き飛ばされてしまうのだという。結果として、何も生み出す力がなかった者が会社に貢献できるまでに育つ機会すら失われてしまっている。長い目で見れば、会社にとっても社会にとっても育てる期間を持つことは有益だと思うのだが。
確かに、身体も心もかしこまった状態でからだに我慢を強いながら物事をつづけていくことは大変である。しかし、その努力をこつこつと続けていくことである日突然できるようになったりするものである。「学問に王道なし」とあるように、「ゴールに続く道は無数にある」と思う。まずは何事にも挑戦して続けてみることが重要である。力をすぐにつけることができなくとも何度も挑戦したという事実は確実に残り、その事実が自信となって時としてそれが成功に導く要因になるかもしれない。だから私は、現実の肉体をこえてあらわれるもう一つの身体に精神性を軽視することはいけないと思う。

   講評   hota

 はい、来週はお休みですので、ごゆっくりなさってください(笑)。きっといろいろな用事があって、また何かとお忙しいのでしょうけれど。
 お仕事があって、家庭もあって、よくぞ続けていらっしゃると、いつも感心しています。

毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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