創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   手助け   かせり

 去年のちょうど今頃、私は祖父母の家で夏休みを過ごしていた。家が建っているのはどちらかといえば田舎のほうで、私は毎日ごろごろと過ごしていた。ある日、祖母と二人で、スーパーに買い物に行った。祖母は運転免許を持っていなく、祖父は体の調子が悪い、といっていたので炎天下の中、二人で汗を出しながら歩いた。買い物をすませ、食料品を袋につめているとき、祖母が私に、氷をとってきて、といった。私が氷をとりに行く途中、一人のお婆さんが腰をかがめながら、落としてしまったハンカチを取ろうとしていた。私は、近くに行き、代わりに拾ってあげた。そうすると、「ありがとう、優しいお姉ちゃんやねー」と嬉しそうに笑った。私は氷をとりながら、なぜ周りの大人たちが先にとってあげなかったのだろう、と思った。
 確かに、手助けをするのはよいことだ。困っている人には手を差し伸べてあげることは小学生でもしなければならないことだ。また、手助けをすれば、「情けは人のためならず」ということわざのように、他人にしたことはいつか必ず戻ってくる。私も、お婆さんのハンカチを拾ってあげた数日後、友達とショッピングセンターで遊んでいると、友達が私の足を踏んでしまった。彼女はハイヒールを履いていたためか、よく見ると血が出ていた。すると、その子ともう一人そのことを見ていた子が薬局まで着いてきてくれて、段差があるときは肩まで貸してくれた。そのため、私はその日、一日中いい気分で過ごせた。
 しかし、手助けには悪い面もある。小学校の低学年のころに読んだ本の中に、とても印象的な場面があったのを覚えている。その場面が今でも頭に残っているのはいつも学校の先生がやりなさい、ということと矛盾していたからだ。その話にでてくる男の子は足をサッカーで痛めていたので、松葉杖を使っていた。彼はフランスに住んでいて、日本にいる女の子にいつも手紙を贈っていた。その手紙に、彼が街を一人で歩いていて、信号が変わるのを待っているとき、あるおじさんが、「もし手を貸してもらいたいなら、貸す。でも、一人でも歩けるのなら一人で歩きなさい」といわれたことがとても嬉しかった、と書いていた。彼はいつも、自分でしたいのに母が何もかも面倒を見ていたため、自分が一人でもできると確信を持てたことが嬉しかったのだ。私はいつも先生に体の不自由な人を見たときは必ず手助けをしなさい、といわれていたので、一人でやりたい、と思っている人がいることに驚いたのを覚えている。
 確かに、手助けにはよい面も悪い面もある。しかし、一番大切なのは「明日の朝が仕事を完成させて持ってきてくれるわけではない」という名言のように、周りに手助けされるのを待つのではなく、まずは自分の力でやってみることだ。自分の力でやってみることで、新たな可能性が生まれたり、新しいことを学ぶ機会も多くなるだろう。

   講評   tama

 周りによく気がつき、心優しいかせりさんは、困っている人に手を差し伸べることは当然のことであると認識し、即座に行動に移すことができる人です。「情けは人のためならず」のことわざ通り、手助けをしたことで報われたという実例も、じつに爽やかで、読んでいるだけで清々しい気分になりました。
 しかし読書体験によって、手助けを望まない人がいるのだということにも気がついたのですね。自立を妨げ、達成感を奪うなど、本人のためにならない場合もあることも理解しておかなければ、単なるおせっかいや自己満足で終わってしまいます。手助けをする側は、相手の立場を考え、その人にとって、それが本当に必要なことなのかを見極めることが大切だと言えるでしょう。
 かせりさんの結論である「待つのではなく、まず自分の力でやってみること」は、手助けをされる側としての意見ですね。とてもよく考えられていると思います。


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 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

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