国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   人と変化   ニンジンスキー

 友人だの隣人だの夫婦だのは、「えらぶ」ことができるが、親子関係だけは、「えらぶ」ものではない。現代のひとつの特徴は、親子という関係が「問題」化してきた、ということであろう。親子の間には、深い溝がうまれてきている。伝統社会の親は、自分が育てられたのとおなじように育てればよいと考えている。ところが、現代社会での様子はだいぶちがう。完全な保護者・教育者としての親と、完全な被保護者・生徒としての子、という安定した関係はグラつき、親子のあいだには一種の緊張関係がうまれてゆく。私は世の中の変化を受け入れたほうが良いと思う。
 その理由は第一に、変化を受け入れないと、「当たり前」の快適な生活が出来なくなってしまうからだ。私は11歳で携帯電話を買ってもらった。母に
「はじめて携帯を持ったのはいつ?」
と何気なく聞くと、
「PHSは鹿児島に引っ越した時で、携帯はあなたが小学校に入学した頃。」
という驚くべき回答。鹿児島に引っ越したのは私が1歳になったばかりの頃だから、完全な大人になって初めて買ったようだ。また、小学校6年生のとき、親友が驚くべき光景を目の当たりにしたらしい。小学校では、長距離通学のため、届けを出せば携帯をもっていっていいことになっていた。すると、ある電車が遅れた朝(私は早い電車だったのでひっかからなかった)、こんなことには慣れっこの上級生は下級生をホームへの階段の裏に招集、ひとまず下級生はまとめておいて、5,6年の「会議」なるものをしていた(親友は友達がいなかったので会議には加わらなかった)。すると、友人は見てしまったのだ!1年生(ショルダーをかけているので分かる)が平然と携帯を取り出し、目にも留まらぬ速さで彼女の母親に電話をかけるのを。
「もしもし、お母さん?電車止まっちゃった。うん、うん、じゃあお父さんにメールするね」
「おいっ、メールするんかいっ!」
親友も携帯を所持しているのに、まるで女子高校生のように、この世のものだとは思えない速さでメールを打っている1年生をただ、ただ、呆然と眺めていたそうだ。そのころまだ携帯を所持していなかった私は、テレフォンカードを手に、公衆電話に向かいながら、彼女の話を聞いていたのだった。今日も、帰り道に公衆電話を母親にかける後輩がいるのだ…。そして、ごめんよ、と思いつつ、今日もこっそり電車の中でメールをしてしまう私がいる…
 その第二の理由は、新しいものを受け入れるのは楽しいと思うからだ。私がよく使う言葉では、「ファンタスティック」といえる。Fantasticという言葉を聞けば、私の母方の祖母を連想する。今から2年前、私が5年生のときに、一人暮らしだったということもあって、祖母が携帯を購入した。私が父から習った「デコメ」なるものを送ると、返信がすごかった。
「文字に色がついて、動いていて びっくり したヨ」
「今度ばあばんちに来たら 教えてネ」
完全に学習意欲(?)に満ち溢れている。その後、「ばあばんち」に行って教えてあげると、最強の練習方法が待っていた…!その名は「自分送り」。電話帳に自分のメールアドレスを登録、ためしにメールを打つと、自分に送る。しばらくすると着信音。
「チャーラーンッ」
見てみると、この世のものとは思えないほどの鮮やかなメールが届いた。容量が大きすぎて、私の携帯は、デコメを自動的に消してしまった。けれど、正月の「あけましてメール競争」は忘れることはない。回線が集中する年明け直後にどちらがきれい&時間ぴったりのメールを届けるか、という当てのない競争だが、二人とも、「燃えて」いた(笑)母はただただ困惑である。
 確かに、昔のやり方を引き継ぐことも大切である。いま人類が直面している温暖化には、昔の知恵が欠かせない。しかし、「脱皮できない蛇は滅びる」という名言のとおり、「昔」の体にまとう「現代」の「皮」は、日々日々「脱皮」しないと、滅びるまではいかないが、相当困る。

   講評   hira

 昭和初期までは緩やかに時代が流れていて、お父さんが農家であれば子どももそれを次ぐということが当たり前の時代でした。中学生のニンジンスキーさんが小一の子の携帯メールに驚く現代は変化を受け入れないと生きていけないぐらいなのかもしれません。一方で、若い人に「田舎暮らしの本」が受けていて、実際に農業をしながら暮らしている人も少しずつ増えているのは興味深いところですが。
 実例がよく書けているのを活用すると、主題に「世の中の変化を受け入れた『親子関係』・・・」とし、理由も「親子関係」に絞っていくとより論旨が明確になりそうです。
■第一段落 ● 是非の主題
無駄がなくてわかりやすい要約です。「世の中の変化を受け入れた方がよいと思う」と主題が述べられました。
■第二段落 ● 複数の理由一 ● 体験実例
 出来事を書いていく描写力にはいつも舌を巻きます。「まるで女子高生」ほんとうに同じ人間かと思うほどのスピードです(笑)。段落の最後のあたりに小さいまとめを入れておくと主旨がすっきり伝わると思うよ。
■第三段落 ● 複数の理由二 ● ユーモア表現
 ニンジンスキーさんのおばあちゃん、最高! 懐メロを歌ったり、水戸黄門が大好きだったりとなかなかお年寄りは自分のスタイルを変えにくく、また、ある程度はそうであってもいいと思うのですが、ニンジンスキーさんのおばあちゃんのように新しさを世代を超えて楽しめるって素晴らしいと思いました。
■第四段落 ● 反対意見への理解 ● 名言の引用 ● 是非の主題
 「地球温暖化」など自分なりに工夫して言葉もよく、納得感のある意見が書けています。

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