国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   昨日と今日と明日の微差   紫式部

 フロイトは二人種間の違いが実際には小さければ小さいほど、その差は想像の中で増幅されていくと主張し、この現象を「微差のナルシシズム」と呼んだ。例えばバルカン半島のセルビア対クロアチアのような民族紛争などは、これまで隣人として穏やかに暮らしてきた者どうしが、フロイトが呼ぶところの「微差のナルシシズム」の人為的操作によって増幅させられた結果なのかもしれない。私たちは相手と自分を比べることで自分の存在を確認するべきではない。
そのために考えられる第一の方法は自分に自信をつけることだ。自分と相手とを比較し、おとしめたり、非難したりするのは自分の弱さを隠すためのということが多い。自分に自信をつけることで相手とはまったく別の自分が見え、人に攻撃しなくとも自己確認ができる。しかしなかなか難しいもので、集団の中に入ると「あの人よりは〜できる」と基本となるものさしが相手になりがちである。このような考え方はある程度仕方が無いのではないかと思う。逆に私はこの考えを捨てるというよりも、この考え方を生かす方法を考えた。相手との比較の中で見つけた自分の優れた部分を自信に変えるという方法だ。それがいじめなどにつながることはあってはならないが、心の中で人と比較するのはどうぞご自由にである。修正不可能な人間の癖を逆手にとって自分の自信に変える。なんて効率のよい考え方なのだろう(笑)
 第二の方法は集団で一つのものを攻撃するという社会の体勢を変えることだ。いつも思うのだが、日本は持ち上げるだけ持ち上げておいて、なにかしらそれにケチがつくと一気加勢に国民全体で攻撃する。自分たちの考えや、思想と違うものは国全体でやっつけるという意識が相手との比較を際立たせてその違いで安心するような社会は不毛である。例えば朝昼晩とニュースの顔であるアナウンサー。日本でのアナウンサーはほとんど芸能人と同じ扱いであり、人気のある方はアナウンサーの仕事だけでなく幅広く活躍している。最近も人気アナウンサーの不祥事が上がったとたんに、今まで持ち上げていたものを急に地にたたきつけるように攻撃し始めた。週刊誌では根も葉もない記事を掲載したり、ニュースで特集を組んだりするのはもちろんのこと、PC上の掲示板などでは大騒ぎである。こういったメディアの総力戦で一部分を攻撃するやり方は改めるべきであるし、やり方が子供じみている。
 確かに、相手との相違点を見つけることで自分の存在意義を確かめることは大切だが、「自分のものさしとは相手との比較の中ではなく、あくまでも昨日の自分との比較の中に刻んでいくものである」というように、そこで一歩立ち止まって、自身の中に自分の存在を見出すことができるようにすることがもっとも大切なことである。


   講評   kira

 紫式部さん、こんにちは。今回は自分自身の確認の仕方がテーマでした。個人のレベルでも、国のレベルにおいても、他と比較して優越感を持とうとするのは、結局弱さを表すもののようですね。
 自分に何らか誇れるものを持っている人は、他人を攻撃したりしませんね。たとえば優れたスポーツ選手、五輪の代表選手たちは、決して自分の成績を人のせいにしたりはしません。このように、人と比べる視点を捨てられれば、いじめなどの問題もなくなりそうですね。
 また、国のレベルでいくと「集団で一つのものを攻撃する」ことは慎みたいものです。国の内外を問わず仮想の敵をつくりあげて、それにむかって一致団結するのは弱い証拠といえるでしょう。アナウンサーのふとした落ち度を一斉に叩いている人たちは、みな不安を持つ人たちなのではないでしょうか。
 ものさしの定義はすばらしいですね。私もそんなものさしを持って進んでいきたいです。

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