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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   地獄と天国の関連性   みるく

「うわあ」
と思った瞬間に、体の重心がぐらりと傾き、世界はゆらりと揺れ、
「ドッシン」
という鈍い音が体育館に響いた。気がつけば、私の周りに人が群がっていた。大変馬鹿なことをしたのである、私は。
 事の始まりは、4時間目のお楽しみ大会の時間。プログラムの「タッチ鬼ごっこ」でそれが起こったのである。このゲームのルールは極めて簡単。「氷鬼」と同じルールである。このゲーム、ルールは簡単なくせに、実際にやってみるとかなり苦痛。まず、鬼はタッチしても交代制ではないので、ずっと追いかけっぱなしという苦痛。逃げる方は、逃げつづけなければという苦痛。やがて、鬼が決まりゲームが始まった。
「5,4,3,2,1」
「きゃー」
みんな、誰が鬼だかよく分からず、てんやわんやの大騒ぎ。私だって、とにかく走り続け。でも、逃げる方も追う方も心は同じ。(楽しいけれど、つ、疲れた)ふと、体育館の隅に目を見張ると、何人かの人が、固まっていた。まるで銅像のようだ。私はクスクス笑いをこらえながらも救出に向かった。しかし、なんということ。鬼が見張っていたのである。しかも、そこから悪魔のカウントダウンが始まったのである。
「30、29.28,27,26、・・・」
私は、なんとか鬼の縄張りを掻い潜り、一人目の救出に成功した。
「18,17,16,15,14・・・」
ところが、一人の鬼が私を追ってきた。(うわっ、どうしよう)
「10,9,8,7,6,5、・・・」
でも、私は小さな希望を手に、鬼をタックルして、この場を逃げ去ろうと考えた。しかし、タックルに成功したものの、鬼の足に躓いてしまい・・・。
「3,2,1,・・・」
「ドッシン」
というあの場面になってしまったのだ。気がつけば、私の頬は堅い木の床にぺったりくっついていて、左膝に異様な疼きと痛みを覚えた。まるで、脅迫されているようにじんじんと後から痛みが湧いてきた。湖のように湧いてきた。左膝は内出血していて、どす黒い紫になっていた。思わず、顔を背けたくなる光景だった。
「わあ〜、痛そう」
と群衆から同情の囁きが聞こえた。相変わらず、左膝は地獄のような痛みを発射していた。
 この傷が治るのに約1週間掛った。けれど、私はこの体験から学んだことがある。それは、内出血を体験したことによって、他の人の傷の痛みを共感することができたことだ。共感してくれる人がいれば、みんなも励ましてもらった気がしてうれしいだろう。私が体験した地獄は、けがの経験者にとって天国ということが分かった。

   講評   inoko

 みるくさん、こんにちは。
私は、小さいころケガばかりしていました。膝にはいつも傷があり、当時は当たり前だった赤チンで赤く染まっていたものでした。そして、大人になってからは、足よりも手に傷が多いような気がします。紙で切る、小さなやけどをする。私は、少しあわてんぼうのようですね。
☆ この世の出来事には、すべて意味があると言います。もちろん、痛いけがにも意味があるのです。今回の作文では、最後のところで体験から学んだことを書いています。これがまさに「意味」なのでしょう。タッチ鬼ごっこの経過、そしてけがをした瞬間のことは、いつものように丁寧に描くことができています。けがの様子の描写は生々しい。痛さが伝わってきます。そして、最後のまとめでは、学んだことを天国と地獄という言葉を使って表現しているところがさすがです。



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