国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   人と自信と温かさ   ニンジンスキー

 自分の美貌を鼻にかけた美人は、他人に快感を与えないものだが、自分の美しくないことに劣等感を抱いて卑下している人は、それに劣らず他人を不快にする。「自分を虫けらだと思っている者は人に踏みにじられる」という格言がフランスにあるが、他人から尊重されるには、まず自分で自分を尊重することが第一である。友達ができない人に問いたいことは、好きな人にはすべてを与える心意気が乏しくないかということである。自分に自信を持ち、人に温かく接することは大切だと思う。
 その第一の理由として、人に温かく接することが出来れば、自然と友達が出来るからだ。わたしのクラスメートには、それが出来ず、いつも一人ぼっちの人がいる。わたしが初めて彼女と同じクラスになったのは5年生のとき。とても孤立した存在で、最初の頃、接してみようと思ってもなかなか言葉を交してくれず、その結果、彼女はクラスの中でいつも一人ぼっちになってしまったのだ。友人と彼女のことを帰り道に話し合っていると、友人が、
「友達を作ろうとしてないよね」
と言った。確かに、口数が少ないだけでなく、体育で組を作るときなども一人で端っこにいる。おそらく「自分は友達が出来ないのだ」という劣等感を抱いていて、そこからくる行動が、さらに他人からの印象に悪影響を及ぼしてしまうのだろう。いつからか、クラスではチームワークという言葉が飛び交うようになって、より一層クラス内が団結し始めた。なのに、彼女はいつも端っこにいる。次第に、彼女は「友達はいらない」「友達を作ろうとしていない」のだろうという見解が広まっていった。ますます彼女は閉鎖的になり、男子の中では彼女を敵視するような者、軽蔑するような者まで出だして、女子の間でも男子を批判するものはいなくなった。もしくは、その勇気がない者ばかりになった。中学にあがった。男子は受験して他の学校に進学していき、女子はそのまま系列の女子校に上がった。今でも、彼女は孤立したまま。私たちのような内部進学者のほかに、受験して外部から進学した人も沢山いるが、その人たちにまで「友達はいらない」「友達を作ろうとしていない」という見解が広まっている。
マタイ福音書の一説にある言葉、
「求めよ、さらば与えられん」
彼女に贈りたいのはこの言葉だ。
 その第二の理由には、自信を持った上でさらに人にやさしく接することが出来ないと、さまざまな事の印象にそのイメージが付きまとってしまうからだ。この前、母から中国人のことについての話を聞いた。私の母の友人は、昔、カナダに留学してカナダの大学に入ったそうだ。もちろん沢山の外国人がいる中、中国人の留学生もいた。かなり沢山いたようだ。決まってテスト前に、中国人の留学生だけで集まり、沢山勉強するのだが、中国人ではない誰かがノートを見せて欲しいと言ったとしても、決して見せない。絶対に見せずに、勉強するのだが、中国人の間ではノートを見せ合うそうだ。なぜそんなことをするのかと思ったら、中国人だけがんばってとてもいい成績をとって、国全体が頭が良いのだと認識してもらおうと思っているのだそうだ。それを話し終えた母は、
「中国って、本当に目的のためなら手段をえらばないのねぇ…」
と言っていた。この話が持ち上がったのは、北京オリンピックのマラソンを見ていたときだ。ふつう、沿道から応援する人たちは他の国の知らない選手にも声援を送り、旗を振るものだが、テレビの画面で見たのは、中国の選手が通り過ぎたときだけ声援を送り、旗を振って、そのほかの選手が通り過ぎる時は、何も声をかけず、旗を振らない中国人だった。「それはなしでしょ」
とテレビに叫びたかった(笑)
 友達の出来ないクラスメートや、中国人以外にはノートを見せない中国人留学生、他国の選手を応援しない中国の観衆。彼らに必要な事は、自信だけではなく、温かさだけでもない。その両方を兼ね備えたとき、友達が出来、海外で学ぶことの良さがわかり、他国の選手を応援する気持ちの良い風景が見られる。だから私は自信と温かさ両方を兼ね備えることが大切だと思う。

   講評   hira

 わかりやすい要約、意見展開は自分の体験や聞いた話、見た話を丁寧に書き込めていて、読み手に響く内容になっています。
■第一段落 ● 是非の主題
「自分に自信を持ち、人に温かく接することは大切だと思う」長文の意図を読み取り、主題がまとめられました。
■第二段落 ● 複数の理由一 ● 体験実例
 聖書の一文が印象的でした。心を閉ざすのはいろいろな理由があるので何とも言えないところもありますが、ニンジンスキーさんの言うように負のループから抜け出せなくなっていると言うことはあるでしょう。ニンジンスキーさんのように思っていてくれている人がいるのは救いであると感じました。
■第三段落 ● 複数の理由二 ● ユーモア表現
 オリンピックの今、タイムリーな実例でした。中国には中華思想という独特の世界観があります。それは、中国(中華)が世界の中心であり、その文化、思想が最も価値のあるものとし、漢民族以外の異民族の独自文化の価値を認めず、「化外の民」として教化の対象とみなす思想のことです。私自身は若かりし頃、中国でいろいろ親切にしてもらったので個人としてはまた違うのかもと思っていますが、ここでは語り尽くせないテーマですね(笑)。しかし、自分や自分の身内はよくて、あとは助けないという発想はやはり人間の真理ではないでしょう。
■第四段落 ● 反対意見への理解 ● 名言の引用 ● 是非の主題
 自分の言葉でよく考えて書けている。書いていることそのものが名言のようですが、主題の部分で名言も入れておいてください。


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