創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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レッテル 一休さん
自由の国アメリカに憧れた日本人は現在、何人ぐらいいるだろうか。エーゲ海に面し海風が吹く町でのんびりと生活を営みたいと思う人はどれくらいいるだろうか。これらの希望には少なからずも日本から遠ざかりたいという思いが含まれているに違いない。原因は勝手に抱いた劣等意識に他ならない。私は日本人が自国の良さを重んじないでただ外国に対して劣等感を持つことは問題であると思う。
その第一の原因は日本と外国との差異が顕著であることだ。分かりやすい例を挙げるとオリンピックがある。日本人は金メダルを10個ぐらいしかとれないが、一方欧米諸国は倍以上獲得している。また日本人がほとんど活躍できない陸上競技ではケニア系の黒人が高成績を残している。これらのような数字で差が明確であると日本人は身体的に外国人に劣ると認識しやすくはなる。私は一昨年、去年とそれぞれイタリア、フランスへ旅行をしてきてきたのだが、そこで私自身も劣等感を抱いてしまった。建物一つ見ただけでヨーロッパは格が違うと感じてしまったのだ。モザイクが綺麗に飾られている教会、シャンデリアが立派にさがっている宮殿などの壮大な建物をみると自然に私は自国の荒んだ寺や神社と比較してしまうのである。日本には地震がある関係で高い建物が残らないという事実を考慮してもやはり少々の劣等感は否めなかった。(体験)しかし今落ち着いて考えてみるとヨーロッパ人にとっても日本の寺や神社は珍しくてしようがないのではないだろうか。人というのは普段見かけないものに新鮮感を持ち一種の憧れを覚えてしまう。見た目みたいに差が明らかである以上我々日本人が劣等感を抱くのは当然である。
その第二の原因は歴史上に日本という国は欧米諸国に劣っていたという事実が残っていることだ。江戸時代の鎖国によって文化面は独自に発達しても産業面は後退してしまったのである。明治時代から「追いつき、追い越せ」と長い間常に前にいる国々の背中をみることを強いられ、また第二次世界大戦で敗北しアメリカによって占領されたという苦い記憶が今日の日本には焼きついているのである。人間には嫌なことをすぐに忘れられる人とずっと引きずる人がいる。我々日本人は執念深いためであろうか、どうやら後者の人間のようである。(笑)「昔より今が大事」とはよく言うが、心の傷はなかなか癒えないものだ。
確かに日本とヨーロッパには明確な違いがある。日本はお米が主食であるのに対して欧米諸国は肉食である。しかし違いなどあって然るべきものだ。グローバル世界では他国を受け入れるだけでなく、自国をしきりにアピールすることも不可欠だ。だからこそ今日においては、その違いに落胆して自国の文化に劣等のレッテルを貼る行為は愚かだとはっきりいえる。世界に誇れる電子産業や漫画、アニメ等を紹介することが現在の日本人に与えられている使命であるといっても過言ではないだろう。「人々が劣っていると思う文化ではなく、その人々自身が劣っているのである。」(名言)今では日本に外国人が観光にくることは珍しくとも何ともない。彼らはこの日本を知りたいと考えて足を運んでくれているのだ。お互いに文化を尊重しあうように心がければこの劣等感は自然に消滅するだろう。私は日本人が外国に対して劣等感を持つことは問題であると思う。
講評 nane
書き出しをやわらかく工夫したね。
第一の原因は、なるほどとも思うけど、日本の文化は目立つことを避ける面がある。ヨーロッパの文化は、自分を誇示するところがあるから、それに比べると日本の文化はみすぼらしく感じるのかもしれないね。
歴史上の原因で、特に最近の歴史は影響が大きい。アメリカとの戦争で負けたことが、社会のいろいろな分野で劣等感のもとになっている。しかし、その反動で、たまに、「もう、アメリカに学ぶものはない」と単純化してしまう人も出てくる。適度な距離を保つことが大事なのだろうね。
名言は、いい雰囲気だけど、もうひとことほしい。
結びで書き出しに戻る戻り方は、同じ文のままよりも、もう少し工夫してみよう。例えば、「日本人が劣等感を持たなくなったとき、……」など。
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