創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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芸術スポーツといっても かいろ
いかに効率よく生産力を上げるかということこそ、近代体育の、また近代スポーツの隠された主題だった。オリンピックは長い冷戦を反映したが、その間の最大の話題が記録更新とメダルの数であり、身体の祝祭を測る物差しではなく国家の生産力を測る物差しにすぎなかった。そうした中で芸術スポーツは登場し、美しさと感動が話題になるようになった。そして人は消費するために、生産するという考えを持つ人が増え、生産第一主義から消費第一主義へと移行し始めた。このように生産に重きをおく価値観から消費を楽しむ価値観に変化したのに対して社会がついていかないことは問題だ。
その第一の原因は、今日に至る日本の豊かさを築いてきた原動力が生産力を上げることによって作られたからだ。戦後の日本は技術の発展を背景に物資の大量生産が起こった。その一つに自動車がある。より生活を豊かにするために機械を使った大量生産を行った。それは、生活に豊かさを与えたが、反対に便利さに夢中になり消費の価値観に気付かなかった。
その第二の原因は、消費の価値観がまだ洗練されたものになっていないからだ。新体操やシンクロという競技は1984年のオリンピックから正式種目になったが、まだまだ歴史は浅い。中学校や高校の部活や授業でも美しさを追求する芸術スポーツはあまり広まっていないのだ。
確かに、いかに生産するか、いかに強いかという旧価値観は時代を動かし大きく日本を変えた。しかし、これから必要な変化は生産力によってではなく消費を楽しむことによって変化していくことであるというように私たちの社会が新しい消費の価値観についていけてないのは問題である。
講評 kira
かいろさん、こんにちは。消費することを楽しむ文化が始まっているのですね。考えてみれば、私たちの日常はほしいものはほとんど手にいれることができる豊かさです。日本においては衣食住に危機を感じるような人はあまりいません。ということは、不足に対してガンガン生産する時代ではありません。そこで経済発展を続けようとすれば、とうぜん消費者が喜んでとびつくようなものを提案して行くことになりますね。商品で言えばブランドやキャラクターものということになり、スポーツも美しさや感動で勝負するようになりました。
しかし、この切り替えがまだじゅうぶんではないようです。
大量生産の価値観から抜けられずにいた実例として、自動車産業をあげました。うーん。これはどちらかというと、消費者の心をくすぐりながら、新しいモデルを購入させることに成功しているほうの例かもしれません。
新体操やシンクロといった新しいスポーツは、たしかにまだ体育の授業には組み込まれていないようですね。評価がつけにくいでしょうね。
私たちひとりひとりが、自分の価値観と向き合ってみて、社会が求める価値観と照らし合わせてみて、納得しながら新しいものを受け入れていきたいですね。
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