低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
小学1・2年生
小学3・4年生
小学5・6年生
中学1・2・3年生
高校1・2・3年生
季節感 青藍
豊かな四季に恵まれた日本では、草花や天気の変化が常に私たちを楽しませてくれる。日本人が古来から、季節を大切にする考え方や生活を行ってきたことは、「徒然草」や「枕草子」といった代表的古典からじっくりと読み取ることができる。季節が移り変わっていく様子は古人の心を感動させ、多くの優れた作品が作り出されるきっかけとなった。しかし、現代の日本はどうだろう。都市には高層ビルが立ち並び、地面はすべてコンクリートで覆われている。空調の効いた場所に行けば、夏なのに「寒い」と感じることさえある。このような状態で果たして、季節をしみじみと感じることができるだろうか。私たちは、いま徐々に失われつつある「季節感のある暮らし」をもっと大切にすべきだ。
そのための方法として第一に、空調の効いた部屋から出て、まず自分の足で外を歩いてみることだ。
これから寒さが厳しくなり、一歩外に出るだけでもためらわれるのだが、思い切って散歩をしてみると良い。気温や木の葉の色づき、虫や鳥の声に注意を向け、その美しさに浸るのはなんともいえない趣がある。家や車といったフィルター越しに見た映像では、私たちの心にまっすぐ入ってこない。自分の肌で自然を感じることが大切だ。
また第二の方法として、季節の行事を積極的に行うことだ。
私は季節ごとの行事を行うことによって、「またこの季節がやって来たなぁ」と気づくことが多い。日本に伝わる行事からは、花や月、言い伝えなど、季節ごとに違った特徴を感じ取ることができる。しかし、高校生になった今では、桃の節句や十五夜の月見などをじっくり行わなくなってしまった。いま再び季節の行事に着目し、実践することで、生活の中に季節感を取り入れていきたい。
確かに、忙しすぎる現代人にとって、季節をしみじみと感じ、生活に取り入れるという意識を持つのは、一見難しいように感じられる。しかし、人生を鮮やかに彩る最も簡単な方法は、身の回りに潜む美を感じ取ることなのだ。
わたしたちは季節感のある暮らしをもっと大切にしていきたい。
講評 hamura
新しい項目である「社会実例」や「当為の主題・自作名言」を十分に意識して仕上げられた作文だと思います。
導入部の段落の文章が上手です。青藍さんの意見から入らずに、まず読み手に一つずつ道を進めていきじょじょに主題に向かっています。大変難しいと思いますが、このような書き出しは、唐突に意見を呈示しない場合の良い方法ですね。
第一段落で述べられている季節と古典が、うまく第一第二の方法に関係づけられています。第一の方法では一般論のような文体にすることで、ここも「当為」の主題に基づいています。
第二の方法では、青藍さんの見方がはっきりと表されます。全体から個へ向かう展開が上手です。先に全体的な意見を作っているので、この部分もしっかりと基礎のある意見に仕上がっています。
「人生を・・」は名文です。ぜひ自分の言葉で表した主題をストックしていってください。自分を把握し直すことになりますし、そういう主題の数々は、他者の主題と出会ったとき、どちらの方向にせよ、より深まると思います。
毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘
自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。
|
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)
| |