低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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うちにある古い物 そへい
僕の家の和室には、一服の掛け軸がある。その掛け軸は僕の父方の祖父が書いた物である。内容は、信濃の国の歌が書いてあるという。僕の父は名古屋出身でこの歌を知っている。だが僕は横浜生まれの横浜育ちなのでこの歌を知らない。そしてこの掛け軸はとても古い。
ある時、この掛け軸に関する面白いエピソードがあった。それは、信濃の方に住んでいる僕の友達が家に来たときの話である。客室として使っている和室にその友達を案内したらいきなり歌い出した。その歌は掛け軸に書いてある歌で、彼はその歌を学校の音楽の授業で習ったそうだ。信濃の方にある学校は、すべてこの歌を教えるそうだ。そして僕はこの歌がすごく有名なこととすごく古い歌だということを知った。掛け軸を書いた祖父には会ったことがありませんが、僕の父が言うには、書道が好きでとてもうまかった。この掛け軸はこれからも受け継いでいけば家族の歴史に残ると思います。
同じようなことで、僕の家で代々受けついているものがあるそうだ。それは木でできた大黒様だという。これは祖父が作ったなどというようなことはないのですが、とてもきれいで大事に扱われています。このようなものを家族の宝として大事に扱っていきたい。そして今の家族とこれからの家族に福を呼んでもらいたい。
僕が思うに人間にとって古いものや代々受け継がれているものというのは僕たちが存在していることを示すものであり自分の前にはこういう人がいたという歴史を残しているものだと思う。苗字もそうだ。昔は貴族のような人たちだけに苗字があったのだが、今は、すべての人に苗字があります。例えば僕の苗字は鈴木だ。日本にはたくさんの鈴木さんがいる。もしかしたら、すぐそこの鈴木さんと僕はものすごく遠い関係でつながっているかもしれない。自分という存在がある限りこのような苗字だけでなく、代々受け継がれているものはないはずがないと思う。つまり自分がいることで、古いものや代々受け継がれているものがあるということがわかる。このようにして、僕の家の和室には、一服の掛け軸がある。
講評 kira
そへいくん、こんにちは。一服の掛け軸をめぐる、古いものへの思いが描かれています。
★内容にふれるまえに、とても気にかかることを注意します。前回も指摘したように、「文体の統一」です。作文ではまず徹底すべき事項なので、必ず「常体」に整えてください。以下、敬体になってしまったところです。
・会ったことがありませんが→会ったことがないが
・歴史に残ると思います→残ると思う
・ないのですが→ないのだが
・扱われています→扱われている
・すべての人に苗字があります→ある
構成ですが、掛け軸の話題で書き出し、結びに掛け軸のある情景をもってきたのは、とてもい工夫です。
掛け軸にまつわるエピソードもいいですね。大切にしている大黒さまが福をよんでくれる話もあたたかい話題です。大黒さまのきれいなようすをたとえの表現で書いてみるといいね。
まとめも「人間にとって」と大きく一般化できました。ところが、その一般化のあとに「苗字のこと」という具体例が入ってしまいました。この話題を取り入れるのなら、三段落目までに入れましょう。
★文意がとおりにくい表現
・僕の父が言うには、書道が好きでとてもうまかった→うまかったそうだ。
★長い文は、適宜句点を打ってください。↓
僕が思うに人間にとって古いものや代々受け継がれているものというのは僕たちが存在していることを示すものであり自分の前にはこういう人がいたという歴史を残しているものだと思う。
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