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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   自然のものと人工のもの   かれん

今、千三百年たった法隆寺のヒノキの柱と新しいヒノキの柱とではどちらが強いかと聞かれたら、それは新しいほうさ、と答えるに違いない。だが、その答えは正しくない。なぜならヒノキは、切られてから二、三百年の間は、強さや剛性がじわじわと増して二、三割も上昇し、その時期を過ぎて後、緩やかに下降する。バイオリンでは、古くなるほど音がさえるというが、それもこの材質の変化で説明できる。木は同じ種類のものでも、産地により立地によって、材質が少しずつ違う。それは、物理的、化学的な実験によっても証明できないほどの微妙な差であるが、市場では長い経験によってそれを区別し、値段も取り扱いも違っている。また、木はそれが生育した土地で使われた時、一番しっくりとして長持ちするということも気に詳しい人たちのよく知るところである。私たちは、機械文明の恩恵の中で、工学的な考え方に信頼を置くあまり、数量的に証明できるものに真理があり、それだけが正しいと信じすぎてきたきらいがあった。だが、自然が作ったものは、木のように原始的で素朴な材料であっても、コンピューターでは解明できない側面を持っているのである。
 私にも同じように思うことがある。ひとつはピアノだ。引っ越す前は、母が使っていた本物のピアノを使っていた。今は電子ピアノを使っている。引っ越す前は、電子ピアノはいろいろな音も出るし音量も変えられるからいいな、と思っていた。しかし、今となっては本物のピアノの方がいいように思う。なぜなら、小さい音にしていると隠れてこそこそ弾いているような気分になってしまって、まるで泥棒になったよう。ヘッドホンをつけてしまうと、思い切り弾けなくなってしまう。そして、なんと言っても弾いている途中の鍵盤の音がカタカタとうるさい。それでも質のいいものを買ったはずなので、ここはやっぱり本物と偽物の違いだ。
 もう一つは絵の具だ。図工の時、例えば緑を使うとする。そこで、もとから作ってある緑と、黄色と青を混ぜて作った緑とではどこか違う。私は、自分で作った緑の方がやさしい色なきがする。他の人は大体「そんなの、面倒だ」といって、もともと作ってある方を使う。確かに、工場で作った方はきれいで鮮やかな色だ。しかし、鮮やかすぎてしまってどこかが変だ。まるで着色料がたっぷりのお菓子のよう。木の絵を描くときは、自分で作った緑のほうが本物みたいな色が出る。それに、少しだけ黄色を多くしてみたり、青を多くしたりと微妙な違いを出すことができる。もちろん、もとからある緑をそのまま使うような人はいないだろうけど、余計な色が混ざっていたりして、じぶんが本当に出したい色が出せない。
 人間にとって自然とは、友達のようなものである。人工のものは、まず、発明するのに工場を使い、その発明した製品を作っていくのにも工場を使う。環境にも悪いし、お金もかかる。それに比べて、自然のものは私たち人間にとって身近なものでできて、とくに大変な技術もいらない。手間はかかるけど、一度完成したら、それは人工のものより強い。これからは、できるだけ自然にやさしい暮らしをして、地球温暖化などで大事な友達を失うようなことにならないようにしたい。
 

   講評   kiri



 こんにちは。今回は、技術が進んでも、自然のものにしか出せないよさというものについて考えてみましょう。

<構成> 自然のものには、いくら人間ががんばっても解明できないものがたくさんあるね。それがよくわかる要約ができました。
<題材> 最近は、身の回りを見ても、本当に人工的に作られたものが多いね。かれんちゃんは、ピアノを例に出すことができました。電子ピアノと、本物のピアノ。同じような音が出るようで、ちがうのだね。図工に時間につかっている絵具も、人工の色ではなく、できるだけ自然な色を出せるように工夫して使っているのがよくわかりました。
<表現> かれんちゃんはたとえの表現も、いつもとてもうまく考え、作文に入れることができているね。今回もいい表現が使えました。 
<主題> 人間は自然が大事であることを知りながら、破壊を進めているね。もっと自然の良さを見直さないといけないね。「人間」という言葉を使って大きな意見が書けました。

                     

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