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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   未来ではなく、今を生きる   ハーマイオニー

 「ああすれば、こうなる」と考えることは「予定された未来」を信じることだ。未来に予定があれば、それはすでに現在を強く拘束している。本来の未来とは、「ああすれば、こうなる」で拘束されていない時間である。だが、現代社会は、『モモ』に登場する「時間泥棒」同様、子供たちから「漠然とした、定まらない未来」という財産を奪っているのではないだろうか。私は、予定された未来のためではなく、「今」を生きるべきだと思う。
 その理由は第一に、いくら予定を立てたところで、「ああしても、こうならない」こともあるからだ。私も、定期考査の前には計画を立てる。ところが、たった一〜二週間の計画がそのとおりにいった試しがない(笑)。どうしても、部活や自分の好きな読書、買い物などがあったり、「眠い」とか、「体調が悪い」とか、いろいろ予期せぬ出来事が起こってしまうのだ。これらの「いつ体調が悪くなる」や、「いつ眠くなる」などということは、残念ながら手帳には書いていない。このように、手帳や計画表通りに進まないのが、人生だと思う。(でも、容赦なくテストの日はやってくる……)
 第二に、たとえ思ったようにいかなかったにしても、何かに打ち込んで一生懸命にやった時間は、自分の財産になるからだ。私は、部活は放送部に所属している。私の学校の放送部は、お昼の放送などではなく、アニメのアテレコや放送劇を演じるのだ。演脚さんが、キャスティングして、役を決め台本を配られ、自分に与えられた役を演じていく、というものだ。入部当初、機材を運ぶのが面倒臭かったり、先輩との上下関係が嫌だったりもしたが、文化祭までは何となく続けていた。だが、合宿・文化祭を経験したら、「辞めたい」などという気持ちは吹っ飛んでしまった。文化祭では、少なくとも一人一役必ず与えられ、生吹き替え、生アテレコをした。私が与えられた役は、中一の中では一番大きな役だった。先輩との掛け合いが多く、とても緊張していた。文化祭当日、家族や友人が教室に入ってきて、手の震えが止まらなかった。三回の本番が終わり、私の心は達成感に満ちていた。高校二年生の先輩方にとって、最後の文化祭。中学一年生にとって最初の文化祭。とても心に残るものになったと思う。今でももちろん部活は続けていて、週に三回行われている。文化祭が終わった後は、基本的に古台本読み(過去に文化祭で扱った台本を読むこと。)を行っている。ただ、時計回りで読むだけだが、色々な役が回ってくる。その度に、声を変えて演じるので、意外と大変だ。だからこそ、友達の声を聞いたり、先輩の声を聞いたりして、いい勉強になっている。コニカの1996年の調べによると、十代のストレス解消法第一位は、カラオケである。声を出して表現することは、気持ちのいいことなのだ。(データ)こういう積み重ねが、最終的には重要になってくるのだと思った。この経験が、将来にどのように生かされるか、生かされないかはわからないが、今この学校で、中一の今だからこそできる経験を精一杯積み重ねて生きたいと思う。
 確かに、人間は未来を予測し、あれこれ考えてしまうものだ。しかし、「私たちの人生は、私たちが費やしただけの価値がある。」という名言があるように、今・現在を精一杯生きることによって、自分らしい人生が輝いていくのだ。

   講評   nara

 筆者の養老孟司さんの本は、ここ数年ずっと売れ続けているね。言葉遣いはやさしいけれど、述べてあることは深い! ぜひ、他の著作も読んでみるといいよ。
 第一理由:「体調が悪くなる」「眠くなる」なんて、確かに予定表にはないね。ここはわかりやすく、かつ、なるほどと思わせる説明だ。その後に「容赦なくテストの日は……」と続けたところは、真の未来と予定された未来との対比にもなっているね。
 第二理由:「ああすればこうなる」という考え方は、どこか効率的で打算的な空気が漂っている気がするね。結果が伴うと保障されているからこそ、それをやる。そうでなければ、やっても無駄。無駄がないように思うけれど、書き出しの段落に書いてあるように、「予定された未来を信じているから」こそできることだね。そうだとすれば、一見、効率的で打算的であるようで、実は最も本質を見極めていない、甘ちゃん(!)なのかもしれないな。
 私たちは、あまりにも先を読んだり空気を読んだりしがちで、自分がどうしたいのか、つまり、まとめにある「自分らしい」面を見つけられずに過ごしていることもありそうだ。今を生きるということは、自分自身を見つめなければ、できないことなのだね。『夜のピクニック』のクライマックスにも、似たような場面があったよ。もう読んでいるかな。

★『ホームレス中学生』映画は、主人公が小池徹平さんだったね。このキャスティングを一番喜んだのは、作者かもね! 最後のあたりに、亡くなったお母さんに話しかける場面があって、そこは胸が痛くなったよ。

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