国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく
国語読解力は、あらゆる学力の基礎。問題集読書の復読と、読解検定の自主解説で確実に力がつく。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   発明を守る   いちごみるく

本来、特許制度は発明を保護する狙いをもっている。技術を「公開」した代償として、発明者に「独占権」を与えようとするものである。技術の公開とひきかえに発明者に与えられる独占権には、三つの効用が期待できる。一つは、発明に要した開発費用の回収が可能になることである。二つ目の効用は、社会全体からみて、発明のための重複研究、二重投資が避けられ、公開された発明の中身が吟味され、さらにちがった方向の研究に進むことが可能である。三つ目は、発明が特許によって保障されれば、発明行為に火がつき新しい発明および技術開発のための刺激剤にもなりうることだ。しかし、日本には「新規御法度」制度に見るように、新技術をはぐくむ土壌は幕府によって完全に抑圧され、まったく発明への気運を醸成するような社会情勢にはなかったのである。このような、享保の時代の観念が今も私たちの社会に残っているのではないだろうか。発明者とその発明を守る特許があまり日本に浸透していないのはなぜなのだろうか?
 その原因は第一に、日本の社会の横並び意識である。日本は島国なので、村八分にされてしまったらどこにも逃げ場がない。大陸にある国々のように隣国に助けを求めることも出来ない。このことは特許を申請することで、周りにどう思われるかを気にしてしまう一因かもしれない。何かを決定する際も、周りの人の様子を見てから手を挙げるという意識が私たちには根強い。しかし、表面だけみると、個人の意見が通っているように見えるが、これでは自分の意見が反映されることは少なく、多数決を取っている意味が全くない。(笑)雰囲気を見て、ぱっと決定してしまうなら、いっそ話し合いにしてだらだら何時間でも話す方がまだ救いようがあるし、本題を話し合う以前に「意見を主張することがめったにない日本人」という問題点ももっと明確になるであろう。
 第二に、国際化が騒がれてはいるが、日本の社会が、一部の製造業を除いてまだ海外との直接の競争にさらされていないことである。世界では、日々刻々変化が頻繁に起こっている。産業の垣根が取り払われ、全くの部外者がこれまで平和に共存していた業界に突如登場したりして、競争が激しくなることもある。こういう激動の世界で長い間生きてきた外国の中から、生まれてきた特許制度なのだから、必然的に必要なのである。その自覚が日本でまだ芽生えていないのは、本来の意味での国際化が進んでいないのではないでろうか?
 確かに、特許によって、新たな参入者に対する障壁を作るという、社会進歩に反するような特許の利用の仕方もある。そこだけ見てしまうと自分の利益、権利しか考えていない意地汚い制度のようだが、本来特許とは個人の業績や特許を取るという能力の高さを誇示するものではなく、社会の変化に負けないように発明者のやる気とその発明が生まれる余地を守るために作られたものなのだ。私たちはこの原点にもう一度立ち返り、この先待ち受けているであろう荒波に備えをするべきだ。

   講評   hira

 今回の型に添って書く書き方はどうだったかな。難しい場合は、型の勉強と思ってスタイル通りに書いてみるのも手です。すると理解30%が、70%ぐらいに上がるはず。また、一度書いておくと頭にその考えのフレームが残っているので、知識が自ずと肉付けされていくものです。
■第一段落 ● 社会問題の主題
 全体からするともう少し要約をカットしよう。四分の一ぐらいが目安。
■第二段落 ● 複数の原因一 ◎ 体験実例
 <いっそ話し合いにしてだらだら何時間でも話す方がまだ救いようがあるし>この辺の書きっぷりは、いちごみるくさんの経験の厚みを感じさせる。
■第三段落 ● 複数の原因二 ● 自然科学実例・長文実例 ◎ ユーモア表現 ● ことわざの加工
 確かに国際化といって英語は勉強するけれど、実際の競争にさらされていないのは確かですね。教育界でもOECD世界学力調査の結果を基にして改革が起こっているようですが、まだまだ井の中の蛙的なところが多いのでしょう。自然科学実例も入れてみよう。
■第四段落 ● 反対意見への理解 ● 自作名言 ● 社会問題の主題 ● 書き出しの結び
 この自作名言は「社会の変化」「やる気」とよく考えることができている。
おめでとう!

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