創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   言葉への慣れと親しみ   ハーマイオニー

 語源が分からなくなると、もとの語の発音や意味に変化を来たすことがある。漢語の場合には、それに使われた漢字が忘れられると、意味用法の転ずることが少なくない。話し言葉では、意味を支持するものがないため変化しがちである。言葉の正しさを論ずるときに語源が引き合いに出されるが、語源のとおりでは、社会状勢の変化のために合わなくなるものが多い。言葉は、各人の言語意識によって動いていく。その言語意識を作り上げるのはその人の経験、教養、教育である。言葉の正しさの規範意識もそこから生まれ出る。私は、実態に合わせて言葉を変えていかなくてもいいと思う。
 その理由は第一に、時代によって言葉を変えていたら混乱するからである。私たちが、いつも教室でお世話になっている黒板。あれはどう考えても黒ではない。どんな田舎の古い学校でも、おそらく今は黒の黒板なんてないだろう。だったら、実態に合わせて緑板(「みどりばん」、もしくは「りょくばん」?)にすればいいと思うかもしれないが、「緑板」にすると、なんだか別物のような気がしてしっくりこない。たとえ一斉に緑板と呼ぶことにしても、黒板が今後紺色などになったとしたら、紺板という名前に変えるのか。(笑)このように、いちいち名前を変えていたら「黒板」と呼ぶ人や「緑板」と呼ぶ人や「紺板」と呼ぶ人が出てきて、混乱してしまう。
 第二に、日本の文化に根づいた慣れ親しんだ言葉には、誰でも愛着があるからだ。例えば、筆箱などがそうだ。今は、ペンケースなどという言い方もあるが、筆箱という言い方も定着したままだ。いまどき、筆を持ち歩いて授業中にも筆を使っている人なんて見たことがない。それに、シャープペンシルなどでも「箱」には入れていない。まして、筆を気の箱に入れるなんて論外だ。だから、ペンケースという名前が登場したのだと思うが、私は決して「筆箱」と言われて古い言葉だと思いもしない。むしろ、筆箱という名称の方がよく使う。人間関係における意識調査(読売新聞 2004年)によると「夫婦、親子間で本音を話しているか」という質問に対して「はい」が75%、「いいえ」が19%であった。(データ)家族みんなに通じる、どの年代にも慣れ親しんだ言葉を使わなければ、深いコミュニケーションはとれないのではないか。やはり、自分がよく理解している使いやすい言葉の方が、自分らしく本音も語りやすいのだろう。
 確かに、言葉と実態が一致している方が分かりやすいには違いない。しかし、「トランプが生きているのは、それが実際のプレーに使われているときである。」という名言があるように、言葉も多くの人に実際に使われてこそ価値があるのだ。

   講評   nara

 言葉を使う人間が生きているからこそ、言葉の変化自体は避けられない面があるね。変化するという前提で、その変化をどうとらえるかというのが、今回のポイントになる。特に、現代社会は、人類の歴史の中でも特筆すべき「変化の速い時代」だと言える。その点を踏まえながら、論を展開していくといいね。
 第一理由:それこそ、技術革新が日々進んでいる現状で、品物の材質が変化していくというものは、山のようにあるだろう。ものの名前というものは、単純に材質や形状を示しているわけではない。黒板も単に「黒い・板」を指しているわけではないものね。そういえば、ホワイトボードを「白版」とは呼ばないのはどうしてだと思う? 第二理由:言葉の働きから考えた理由だね。コミュニケーションという視点だけでなく、「自分らしく本音を語る」という点に触れたのがいい。どちらかだけだと、言葉に振り回されているような感じになりそうだ。若者言葉を使うことは「自分らしさ」だと思っても、それでコミュニケーションが取れなければ、自分らしさを誰に向けているのだか……ということになるものね。
 必然性のある変化であれば、それは、誰かが強要しなくても自然と受け容れられるものなのだろうな。トランプを使った遊びがいろいろあって、ルールも微妙に変化することとも、少し似ているかな。長文の「言語意識を作り上げるのは……」という部分をまとめに活かせると、なおよかったと思うよ。

★終わったね……。あのラストはどう思う? ★

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