創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   町の調和   すいーとぽてと

人間にとって目、鼻、耳、額、髪などのどの部分も、それだけでは顔つまり生きた全体をつくらないが、一つの全体としての顔を形成した時に、初めて生きた個性ある風貌が現象するように、自然物や人為的建造物などが、一つの内的・生命的構造関連をもつ生きた全体となるところに風景が現象する。風景のこの内的生命関連は「風景のリズム」と言うことができる。風景の心を無視した資本主義的営利関心のつくり出す建造物が、むきだしに風景を破壊する、ということは人のよく知っていることなのである。傷つけられた風景を見て人が痛みや悲しみを感得するのは、人が風景を生きものと感じているからである。建物は周りの風景と一体になっているべきである。私たちの住む社会ではそれがばらばらになってしまっていることは問題である。
 その原因として第一に挙げられるのは、戦後の復興を成し遂げていく中で、あまりにも西洋的なものを取り入れ過ぎたために、今までの良さを忘れてしまったからだ。私の住む近所は、古くからの石畳の路地や、建物、老舗などが大切に残されている。しかし、それでも活気がなく古ぼけてきてしまう建物は取り壊され、新しくてきれいな建物が作られる。建物を建てる際の高さ制限があるようだが、高層マンションも建ってしまった。まだそこに引っ越してきて間もない頃だったので、私はそのマンションに対して特に何も感じはしなかったが、長く住む地元の人たちはその高層マンションが建つことで景観を損ねるのを悲しく思い、強く反対したそうだ。署名活動まで行ったが、結局地元住民の思いは伝わらなかった。日本は、西洋文化を取り入れることに熱中したことで、それぞれの町の雰囲気も西洋にかぶれかかっているように感じる。これからは、以前の日本からも学ぼうとする態勢に変えてみる必要があるのではないか。
 その原因として第二に、資本主義の原理にのっとって、利益が優先されていることだ。今、一番能力の高い動物はおそらく人間だと思う。人がさまざまなものを次々と開発していくことで、新しく作り上げられた環境に対応できない動物が絶滅危機にさらされている。そして、人間の中でも激しい競争が起こり、実力のある人だけが生き残ることができる。だから、建設業の仕事をする人は、生計を立てるためにも新しい建物を次々と建てていかなければならない。しかし、地元の人々の気持ちを考えずに、自分たちが利益を得ることばかりが念頭にあると、その建物一つのせいで街並みのバランスが崩れてしまうことさえありうるのだ。これからは、それぞれの町が、まとまりのある魅力的な町づくりを心がけていくべきではないかと思う。
 確かに、風景との調和ばかりを気にしていると建物は建てられなくなってしまい、経済的発展をストップさせてしまうかもしれない。しかし、町の発展とは、いかに高層ビルを増やすかではなく、いかに人々にとって居心地良い町づくりができるかだと思う。だから、これからは調和を第一に、住む人のことを考えて建物をつくっていくべきである。

   講評   kira

 すいーとぽてとちゃん、こんにちは。隣の芝は青いではありませんが、西欧の古い街並みをみると、どうしても日本の町が雑多に見えます。建物と風景が調和していないからですね。そもそも日本の原風景はどんなものであったのか、それがもう見えないのです。
 原因を、日本の急速な欧米化と資本主義の価値観に求めました。これらのことは、「読解マラソン」の文章(高1 冬 2番)田村明『まちづくりと景観』にも詳しい記述があります。言葉の森のHPから、読解マラソンに入って、長文サンプルから探すと読むことができますよ。
「・・・「まち」は自然にできるものではない。多くの人が集まり、その意思の集積としてつくられる。だが、日本では、東京始め巨大な都市が形成されてきたが、「まち」をつくるという意識がないままに、それぞれの営みをしてきた結果が、現在の街の姿になっている。・・・
・・・多くの人々が「まち」をつくることに関わっているはずなのに、個人なら自分の家だけを造ると思っている。企業ならいかにして自社の利益を上げるかを考えて建築物を建て、広告物を作る。優良な企業ならば、目の前の利益だけでなく、長期的な利益や企業イメージも考えるはずだが、自分たちも「まち」をつくっている一員だという意識は乏しいままだった。 ・・・」
 風景とは単に目に見える景色というより、心が関わる情景ではないかと思います。日本らしい風景の喪失は、つまり日本の心の喪失にもなるのです。そういった問題意識を持ちたいですね。

(これは 日本酒 笑)

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