創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   高慢ちきの犯した過ち   如月 沙良

分からないことを分からないと言えない人、知ったかぶりをする人が世の中には多くいる。その人には、やがて「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」というようにしっぺ返しが来るのだと思う。
 今や、能力で競っている現代社会では、知らないことを純真無垢な気持ちで「知らない」ということに対して、自分自身の自尊心が許さない。あるいは勇気がない。でも、知らないと謙虚に言えるからこそ、よくこの部分を覚えておこうという気持ちになるのだろうし、知らないということを押し隠した結果として、知らない部分を求められたときに口ごもるのだと思う。現に、ソクラテスは、自分が知らないことを知っていたから、そのことを思いつめて哲学者になった。自分の心を装飾したり創作したりしなくてもよい。むしろ、貧弱な心を曝け出して鍛えた方がよっぽど合理的だと思う。
 知ったかぶりというのは極めて卑劣なことである。しかし、周囲の雰囲気に気圧されてしかたなく知ったかぶりをしたというケースもある。許せないことでもないが、周囲の波に流されないように踏んばるというのも必要なことではないのだろうか。ソクラテス以外の哲学者は、自分は何でも知っていると思い込み、それを鼻にかけておごり高ぶっていた。その人には、もう進歩という新たな転機は訪れないだろう。自分の辞書に「知らない」という言葉など載っていないという人は、新しい知識を吸収する・受け入れるという構えが出来上がっていないのである。高慢ちきである彼らは、自分に自惚れるあまり、自分の見えていない世界を否定していたのである。対するソクラテスは、いつも周囲の世界を第弐の目で見極めていたため、自分の知らないことの多さに圧倒され「無知の知」という素晴らしい名言を残した。ソクラテスは謙虚で前向きな心を持つようになったため、より多くの知識・知恵を追い求めようとした。そのため哲学者の中では、実は彼が一番の知恵袋であったのだと思う。
 友達の前の話である。学校の係の企画で、推理ゲームをしたことがある。友達は、その推理問題を小説「パスワード」に載っていると早とちりした。実は、「パスワード」にのっている問題をアレンジした問題を出題したのだ。従って答えも少々違う。
「この問題知ってる〜。低レベルだし」
「じゃ、君は満点だよね」
「もちろんよ。解いてみせるわ」
・・・。数秒後。
「QED。任務完了」
とふざけながら解き終えた友達。はたして結果は・・・。
「はい残念。全問不正解。でした。」
「ガビーン」
とクールに締めくくった彼女だが、内心顔から火がでる思いだったに違いない。ま、これもブーメランの法則だろうけど。
 分からないことをてらわずに素直に「分からない」と言える人ほど、謙虚で真面目で知恵袋だということが分かった。若い世代の人々よ、無知の知という言葉を心にしかと留めておくのだ。

   講評   inoko

 如月沙良さん、こんにちは。
知らないとはっきり言うこと。これは、当たり前のことのようではありますが、なかなか難しい。私たち人間というのは、体裁や世間の目を意識してしまうものです。そうした余計な意識が、私たちの知識欲の邪魔をしているとしたら、これは本当にばかばかしいこと。沙良さんが書いているように、周囲の波に流されない世に踏ん張ることが必要ですね。「知ったかぶりは何も生み出さない」自分が何を知っていて何を知らないか自分自身の目で見つめるとともに、そのことを肝に銘じるべきですね。



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