低学年から学力の基礎を作る
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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世間にとらわれずに ショウ
欧米人は日本人を権威主義的だと見ることが多いが、それは日本人が常に世間の目を気にしながら生きており、彼らからみると個性的ではないようにみえるためである。日本人は世間から爪弾きされることを恐れていて、自分の能力も必要以上に示さない。また、日本人の多くは世間の中で暮らしているが、世間という言葉は公的な論文や書物には文章語としてほとんど登場しない。言葉のうえでは社会が存在するかのように語る日本のインテリと、世間によって機能している日本の世界を社会としてとらえようとする評論家や学者たちの間で滑稽な行き違いがしばしば起こっているのである。日本人には、自分たちが排他的な世間をつくっているのだ、という認識がほとんどないのである。
僕は、世間にとらわれすぎるのはよくないと思う。
その理由として第一に、自分の意見を持ちにくくなるからだ。友達全員が同じ意見で、自分だけ違う意見を持っていても、その意見を言えない、ということがある。理由は人それぞれだが、多くの場合、友達関係を保つためや、嫌な人だと思われないためだろう。今僕が通っている学校の人は、意見が違っても、それを非難するようなことはない。しかし、日本にいたときは、大勢の前で自分だけ違う意見を言うと友達がいなくなりそうな気がし、自分の意見が違うときもなかなか言い出せなかった。
また、第二の理由として、他の人と同じような視野でしか物事を捉えられなくなってしまうからだ。たとえば、イラク戦争の支持率は年々下がってきており、開戦当初七割以上もの支持率を得ていたにもかかわらず、二〇〇六年には二十九パーセントの支持率でしかない(データ)。これを見ると、最初は自分の意思で決めていても、徐々に周りの影響を受けて周りと同じようなことを考えるようになることがよくわかる。
確かに、相談することができ、協力しあえる仲間がいることは大切だ。
しかし、「自分が考えるとおりに生きなければならない。そうでないと、ついには自分が生きたとおりに考えるようになってしまう。」という名言があるように、世間にとらわれずに広い視野を持ち、自分の価値観、意見を持つことが大事だ。
講評 hamati
●構成:構成図・複数の理由:複数の理由と、その根拠となる体験を具体的に書くことができました。海外と日本との違いについて書くことができるのは、ショウくんならではですね。個性があって、よいですよ。
●題材:データ実例・長文実例:データはイラク戦争に対する支持率を引用しました。この支持率を「周りの人に影響を受けている」例として挙げたのは、なかなかうまいですよ。支持率低下には、周囲の影響という要因もあるのですね。
●表現:名言の引用:名言は、内容に合ったものを引用できましたね。たしかに、「自分の生きたとおりに考える」ことのほうが、かんたんかもしれませんね。
●主題:是非の主題・反対意見への理解:反対意見への理解と、ショウ君の主張をしっかり表現できましたね。周りの意見も受け入れつつ、自分なりの意見を持つことが大切なのですね。
●項目は全て◎でとてもよいのですが、字数が少し足りないので、支持率のデータのあとに、ショウ君の「周りの人に影響を受けて意見が変わった」というような体験を書いてみるとよいですね。日本での生活が短いショウ君には書きづらい内容だったかもしれませんが、よく書けています。がんばりましたね。
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