創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   日本人の謙虚さ   くろーばー

 日本語の表現には、不自然だと感じられるものがある。例えば、『すみません』という言葉のもつ意味の多様性を意識して使っている日本人はそう多くは無いが、我々自身の気持ちを整理してみれば分かるように、日本語にもそれなりの理論が背後にあるわけである。それぞれの言語の持つ特徴には、その言語圏の文化の価値体系が表れるため、一つの言語を習得することは何をどのように捉えるか、という一つの枠組みを与えられるということなのである。日本語は、謙虚さを重んじる文化の上に成り立っているため、私達は無意識のうちに謙譲の美徳に囚われてしまいがちだ。私は、日本人に多い謙虚なことが良い事だとする考え方に縛られずに生きていきたいと思う。
 そのための方法として第一に、謙虚の裏側に潜む失敗を恐れる気持ちを、失敗をバネにする考え方に変えていくことだ。控えめに、相手の主張も難なく呑んでしまうような人は、自分が批判されたり、失敗することに恐怖感が強いとも言える。失敗は成功の元、というように、成功する為には一度や二度失敗を経験し、精神的に強くなることが必要不可欠だと思う。人生で一度も失敗したことの無い人などいないように、失敗は必ずするもので、決して避けられないものだ。失敗をバネにして新たな挑戦に繋げられるポジティブな精神を持つことで、謙虚過ぎた余り最終的に後悔するような人生を送らずにすむ訳だ。日本人はどうしても謙虚な人を好み、まさに『謙譲の美徳』という言葉がある通り、謙虚な人こそ日本人らしいと思い込んでいる。失敗を恐れずに取り組むことで、より良い結果となることもある。私は、以前バレエのコンクールに出場した際、『舞台で転んでも経験の一つだから、思いっきり踊ろう』と思って踊ったことが何回かある。私自身が実際にこけてしまった事は無いが、舞台上で誰の目から見ても分かるような失敗をしても諦めずに踊り続け、入賞した子も過去に何人もいる。積極的に動くことで、謙虚さという日本的概念から離れることも出来るのだ。
 第二の方法として、海外の文化や外国人的な思考と触れることで、幅広いものの味方を身につけられる取り組みを増やすべきだ。今は多くの学校で留学プログラムや交換留学、ホームステイ等の外国人留学生受け入れ、海外研修などなど沢山海外の文化に触れる機会がある。世界単位で見ると、日本は小さな島国でしかない。それ故日本は異文化が入りにくい環境であり、更には江戸時代に行われていた『鎖国』によってますます大海を知るチャンスが遮断されてしまった時代を乗り越え、ようやく世界レベルと同等の文化を持つようになった。何かを通して外国の物の見方を吸収し、生かすことに注目することで日本文化特有の考え方の枠を飛び越えられるはずだ。幕末から明治維新にかけて、日本では開国を求める声が増大していった。特に日米和親条約を結んだ大老井伊直弼は、多くの場合悪者扱いされがちだが、実は外国の文化を日本へ入れるために重要な働きをしていたのである≪伝記実例≫。このように、広い世界へ目を向けることも必要なのだ。
 確かに、日本独自の代々伝えられてきた文化を知り、受け継ぎ、それを守ることももちろん大切だ。だがしかし、日本の『謙虚』な考えを無意識のうちに表してしまってはならない。『脱皮できない蛇は滅びる』という名言があるように、古風な考えだけを律儀に守り続けるのではなく、世界的視野でも物事を捉えられるような柔軟さが必要なのだ。わたしは、日本の謙虚さのような一定の枠組みに囚われすぎない生き方をしたいと思う。

   講評   kira

 くろーばーさん、こんにちは。日本には謙譲の美徳があるといいます。また、はっきり表現しないことで余韻を残す文化であるともいわれます。よいことではあるのですが、知らず知らずのうちに引っ込み思案のようになっているとしたら、警戒すべきですね。そして、それが日本語と言う母国語の内側に枠組みとして存在するのだと認識しておく必要があるようです。
 失敗をバネにする、能動的に自分を表現していくことには勇気や覚悟がいるでしょう。その決意から逃げる口実に、謙虚さが使われてはおかしいですね。どんなことでも、自分を鍛え磨くことの先には、誰かと鎬をけずることがあるのだと認めたいですね。
 文明開化は、ほんとうに花開くが如しの西欧化でした。目を見張るほどの変化だったことでしょう。それでもなお、日本的なるものが失われたわけではありません。だからもっと海外との交流を積極的に行おうと考えるのですね。
 謙虚さがかえって自惚れや慇懃無礼にならないように、私たちは自己主張できるようになりたいですね。



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