創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   公園の在り方   紫式部

かつて庭というものの果たす役割は集団全体の広場だった。しかし、時代が進み権力者が現れるにつれて、庭の役割は『憩いの空間』ではなく、閉鎖的で公共性のない趣味的な『庭園』へと姿を変えた。こうして、日本の庭というものが個人のアクセサリー的な存在となったのに対して、早くから近代化した西洋では貴族の庭園を公園として開放し、老若男女が思い思いに時を過ごす場所になった。庭を鑑賞や趣味といった閉じた世界にするのではなく、現代生活に適した機能的で公共性のある場所に変えていく必要がある。
 そのための第一の方法は、何のために公園があるのかを考えることだ。まず、日本の公園と聞いて何をイメージするか。ここでは生活に最も近い都市公園に絞って考える。夏は芝生の上でお弁当を広げたり、本を読んだり、ペットの散歩をしたりする人が目に浮かぶ。冬は冬でイベントに参加する大勢の人々が思いつく。しかし、日本の公園の使い方はどこか形式的なものを感じる。のんびりしているとは言っても、まるで自分の家にいるように心底リラックスしている人はそう多くはない。それは公と私の区別に厳しい日本人の国民性が無意識にそうさせるのかもしれない。だが日本にも、公園などの広場が市民の祭りの場であり、市場であり、集会の場所だったりと、人と情報が行きかう時代もあったのだ。今はわざわざ外に出なくとも、ましてや公園なんぞ利用しなくとも情報通信技術の発達で他人との交流を瞬時に図れる時代になった。しかしこんな時代からこそ公園を市民のための開かれた交流の場として位置づけたらどうだろうか。
 第二の方法は多くの人に使ってもらえる工夫をすることだ。札幌には街の中心部に『大通公園』という都市公園がある。そこでは冬に『雪祭り』が開催され、市民だけでなく、外国からの観光客も多い。夏にはビアガーデンや、大きな噴水など、秋にはライラック祭りと、季節ごとのさまざまなイベントを行い多くの人の利用を促している。また、世界的に有名な建築家イサムノグチが手がけたモエレ沼公園という場所がある。広大な公園全体がひとつの芸術作品として演出されている。そこに行くと広い緑の土地の神聖さに圧倒され、その中に聳え立つガラスのピラミッドの存在感に拍手したくなる。遠くまで続く緑を見ているとどこまででも歩いて散歩できそうな気がしてくる。それぞれに個々の工夫がなされている素敵な公園だ。公園とは、多くの人に利用されてこその場所だから、人を引き付けるためのさまざまな工夫、例えばイベントの提案や芸術性の向上、環境整備を怠ってはいけない。
確かに、日本庭園のような鑑賞を主とした公園もひとつの文化として確立しているが、それらは「きれいだなぁ」とか「この庭凄いなぁ」などの人間の感情の一方通行で終わってしまう。みんなに使われる公園にするためにには仏を作ったら魂も入れる必要がある。人と人との関係が軽薄になっている今、公園を多くの人が利用してかつてのように交流の場所となってゆけばよいと思う。

   講評   kira

 紫式部さん、こんにちは。庭はまだまだ、個人的な私的な鑑賞の対象であるようです。趣味の世界ですね。ささやかな楽しみを持つと言う歴史が深いようです。では公園はどうかと考えると、庭の拡大として考えたのか、やはり鑑賞や用途のはっきりしたものが多いようです。しかも、必ずといっていいほど公によってつくられたものですね。お仕着せのイメージがあります。
 だからこそ、目的が見えない公園がたくさんできてしまいます。そういった公園はしだいに規則だけがめだつような窮屈なものになるのですね。「公と私の区別に厳しい日本人の国民性」が公園でくつろがせないのだという指摘もなるほどと思いました。
 そして公園の使い方を知らない人が多いのも問題です。何をやってもよいというモラルの低さも困りますが、やるべきことが見えないと、公園は利用されません。ジョギングや体操、小さな子どもの遊び場、ペットの散歩といったこと以外にも、活用法はありそうです。札幌には素晴らしい公園があるのですね。大通公園とモエレ沼公園。それぞれが人をひきつける特徴を持っているのですね。人が集まってこその公園ということをつねに考えるべきですね。
 「仏を作ったら魂も入れる必要がある。」は巧みなことわざの加工です。公園に限らず、私たちは発想の転換をして、今あるものの有効活用をはかるべきですね。

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