創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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いい年になーれ! いろは
「もう二〇〇九年かぁ…。」
私は除夜の鐘をぼーっと聞きながら階段を登る。川西にある満願寺というお寺の初詣に来ているのだ。毎年している。寒いけれど、年が明けたばかりに行くのは、何だか楽しい。私の前後に並んでいる人もそう思っているのだろうか。友達から電話がきたり、新年になったことをしみじみと感じる。二〇〇八年をふり返ると、色々なことを思い出す。一年前も同じようにお参りしていたこと。クラス変えで仲の良かった友達と離れたこと。バレエのコンクールもたくさんあった。本当に数え切れないほどの思い出がある。それも楽しい、美しい思い出だから、知らぬ間に一年が過ぎてしまった。今年はどうなるだろう。
去年、私は一つの事だけを願った。『コンクールで入選できますように』そしてもっとレッスンにはげもうと決めた。去年がんばれたのも、きっとこの目標があったからだと思う。まるで別人のように練習するうち、踊りも変わっていった。確かに自分でも成長したとは思う。もしあの時、何も目標を決めていなかったら、二〇〇八年の中身は何もなかったと思う。一年を無駄に過ごしていたかもしれない。でも私は決めて、それに向かって走った。だからこそ、一日一日の生活が充実していたのだと思う。全て、始めのうちに計画を立てておくことが大切なのだ。
母が幼い頃、いつも家族の事を想っていたという。『父がケガをしませんように』『家事や地震がおきませんように』といった家内安全を願い、この幸せが続くようにと思い続けていた。家族の幸せ=母の幸せだったから。他に困っていたことが無かったといえばそうだが、私は感心した。私はいつも自分中心だ。自分さえ良ければ良い。そりゃあ、家族に危険が及ぶのはいやだが、一年に一回の願い事で、それを願おうとは思わない。母のような願い事で、いったい何を計画するのか。それは、母なりの家族を助けようという試みなのかもしれない。少しでも負担のなる事はさせまいと手伝いをしたり、そんな心優しい子だったのかもしれない。自分の願いに向かっていなくとも、生活が充実していたのは、やはり計画を持ってしてだと思う。
人間にとってお正月とは、前の年を振り返り、その年の計画を立てる、大切な時期だ。一年の計は元旦にあり。このことわざのように、何でも決めるのは最初の方が良い。途中からがんばるのと、始めからがんばるのでは、全く違う。神社に行き、お賽銭を入れてお参りするのは、もしかしたらその年の目標を決めるために、誰かが考えてつくったのかもしれない。だから、年の初めにしっかりと計画し、実行すれば、時間を忘れてしまうくらい楽しい一年になるはずだ。私がつぶやいた言葉も、そうだったからかもしれない。今年もそんな年になるように。私は階段を降りながら、
「今年も良い事ありますように。」
とつぶやいた。私の顔は新年早々笑顔だった。今年は去年よりも楽しくなりそうだ。そうなってほしい。
講評 sumomo
あけましておめでとうございます。新年早々しっかり初詣をしたのですね。寒い夜に神社に詣でることは、なんとなく自分の気持ちもぴんと張り詰めるような気がしますね。そんな時間に、終わった一年のことを思い出し、これからの一年に胸をわくわくさせるのですね。そんないろはさんの気持ちがよく伝わってきます。 昨年、いろはさんがどんなことにがんばったのか、そしてその力の源が初詣にあったことがよくわかります。今年の目標はどんなことを心に決めたのでしょう。また教えてくださいね。
家事→火事
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