創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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曖昧な言い方、厳密な言い方 cherry
コトバの共通了解について、深く考えたのは、スイスの言語学者のソシュールである。ソシュールは、コトバの恣意性はもっと深い所にある、という。たとえば、イヌとかネコとかの実体が、あらかじめ世界にあって、それに対してイヌとかネコとかの名前をつけているのではなく、イヌとかネコがつけられて、初めて、イヌとかネコとかの実体があるかのように見えるのだ。ところで、コトバによって世界を切り取るやり方に根拠はないとしても、同じ言語を使う人々の間では、このやり方がほとんど同じであるように見えるのはなぜだろう。もしかしたら、他人とのコミュニケーションが成立しているので、他人も自分と同じであると錯覚しているだけなのかもしれない。他人と話していて、この人何か完全に勘違いしているんじゃないだろうか、と思うことがあるでしょう。きっとその人は、あなたと表記だけは同じだけれども、実は少し違うコトバを使っているに違いない。おしかしたらあなた自身だって、昔と今とでは表記は同じでも違ったコトバを使っているかもしれないのである。幼児は、犬の範例をいくつか見て、ワンワンと言うパターンを作り上げる。最初は猫もワンワンのパターンの中に入っているが、大人にそれはニャンニャンだよ、と言われて、ワンワンのパターンを修正する。だから、ワンワンというパターンは現物を見ながら他人とのコミュニケーションを通して、構成されるのだ。私は、科学のように、コトバを厳密に使うことは大切だと思う。
まず第一の理由に、曖昧なコトバでは誤解を招くことがあるからである。たとえば、机の上にペンとシャープペンシルがあるとする。Aさんが「あれとって」というと、Aさんの友達のBさんは、「ペンかな、シャープペンシルかな、まあ、ペンでいっか」と心の中で思ってAさんに渡す。するとAさんは「あれっていうのはシャープペンシルのことを言ってたんだよ」という。ここで誤解というものが生じるのだ。「あれ」という二文字で物を示そうとする曖昧な態度から、誤解が生じるのである。「いいよ」という短い返事でも、YESの「いいよ」かNOの「いいよ」がある。私たちはその「いいよ」の前後の言葉でYESかNOかとらえることが多いが、もし関東と九州のように遠い地方の人だったり、すると、もしかすると誤解が生じるかもしれない。これも、そのようなことに関係があると思う。
そして第二の理由に、厳密な使い方をすると、誰にもに、同じように伝わるからだ。データ集によると、携帯電話の加入大宗派2002年の12月末で73,514,100台となっている。今の時代では、携帯電話といえばメールで、メールは厳密な使い方ができるからなのである。コトバだけが頼りのコミュニケーションではますますコトバを厳密に使うことが望まれるだろう。
確かに、曖昧にあらわした方が優しく感じたり、ふさわしい面もあるであろう。しかし、「すべてに効くという薬は、何も、たいして効かない」という名言があるように、厳密な使い方をするほうが、誤解がなくなり、わかりやすいのではないか。
講評 kira
cherryちゃん、こんにちは。科学の言葉は厳密で再現性にすぐれています。これをもっとふだんの言葉にも適用できたら、理解も深まりますね。
曖昧な言葉で誤解を生じた体験を挙げました。「いいよ」の解釈はとても迷うことですね。「結構です」もそうだよね。
厳密な使い方として、携帯メールの例は、じょうずに引用、解釈できましたね。コミュニケーションは非常に速度と範囲を加速させています。
まとめを「・・・ではないか」とすると主張が弱くなるから、「わかりやすい」と言い切っておくといいね。
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