低学年から学力の基礎を作る
幼長、小1、小2、小3の基礎学力をひとつの講座で学ぶ。
読書の習慣、国語算数の勉強、暗唱の学習、創造発表の練習をオンラインで。


昨日2426 今日2596 合計54932
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

小学1・2年生   小学3・4年生   小学5・6年生   中学1・2・3年生   高校1・2・3年生

   日本と欧米の社会の違い   すいーとぽてと

欧米の社会という言葉は、本来個人が作る社会を意味しており、個人が前提であった。しかしわが国では個人という概念は訳語としてできたものの、その内容は欧米の個人とは似ても似つかないものであった。日本の個人は、世間向きの顔や発言と自分の内面の思いを区別してふるまう、そのような関係の中で個人の外面と内面の双方が形成されているのである。いわば個人は、世間との関係の中で生まれているのである。世間は人間関係の世界である限りかなり曖昧なものであり、その曖昧なものとの関係の中で自己を形成せざるをえない日本の個人は、欧米人から見ると、曖昧な存在として見えるのである。ここに絶対的な神との関係の中で自己を形成することから始まった欧米の個人との違いがある。私たち日本人は、個人主義が徹底していなくて、世間に流されやすい面があることが問題だ。
 そのための第一の原因として、日本が農耕民族として始まったことにある。農業は、皆で協力して行うので、その頃から自然と世間が形成されていったのではないだろうか。日本人は欧米人と比べて、協調性があるといわれている。日本では、学校の授業を受けるとき、姿勢を正して静かに授業を受ける生徒がよしとされる傾向がある。それに対し欧米では、授業中お菓子を食べていても、どんな態度で臨んでいても、成績が良い生徒が評価される、というのを聞いたことがある。前者は、静かに、目立たないようにするのが他人に迷惑をかけないので一番であるという、世間を大切にしているからこそ生まれる考え方だろう。その一方後者は、周りを気にするというのではなく、自分にとってどうすることが一番か、という個人主義に基づく考え方から生まれたのだろう。世間を大切にする、という意識は、ファッションにおいても感じられる。似た服装の人同士のほうが、全然違う系統の格好をしている人よりも、仲良くなりやすいように思う。安心感があるのだ。それは、似た者同士で世間を形成したいという考えがどこかにあり、自分だけ服の系統が違うと目立ってしまうという不安を感じるからだろう。私たちは無意識のうちに、世間を意識して生活しているのだ。
 そのための原因として第二に、日本の国が地形的に島国なので、異質の文化に触れ合う機会が少ないからだ。オーストラリアでは、ほかの国では見られない有袋類が進化を遂げてきた。これは、周りの国との接触が少ないため、他国からの動物の侵入が少ない。そのため、その国の地形に合った進化をするのが最良だからなのだろう。日本も、もともと同じ文化を共有してきた人同士で固まり、世間というものを形成してきたので、他国のような個人主義の社会とは違った考え方を持つのかもしれない。
 確かに、日本は世間を意識することで協調性のある安定した社会に成長した。しかし、社会とは、皆で同じ意識を持つだけではなく、それぞれが自分の意思を持つことでより成長できる。やはり個人主義の前に世間がふさがってしまっている現状は問題である。

   講評   kira

 すいーとぽてとちゃん、こんにちは。「『世間』とは何か」、いちど読んでおきたい本ですよね。近代国家における個人と社会との関係が、日本社会には見られないことに初めて気付き悩んだのが、明治に外遊したエリートたちでした。漱石や鴎外といった文人はその悩みを文学で表現していきました。一説によると、漱石は日本の「世間」の働きを見落としてしまった作家だということです。
 日本は弥生時代、稲作で生活の安定を得たところから国家をつくっていきました。だから基本、共同作業で共同体を大事にします。武士の世の中になって、領主と御家人がご恩と奉公という契約関係になったときでさえ、それは西欧の騎士たちが国王と契約を交わしていたものとは性質を異にしていたそうです。ご恩も奉公も領地がらみで、一種の血縁のような深いつながりがあったようです。世間がある=協調性という図式もたしかにありそうですね。
 また、島国という立地条件と国民性があいまって、日本固有の社会が築き上げられたようですね。
 個性が輝きあってこそのしゃかいだという視点は大事ですね。世間もうまく機能させられるような個人が育つといいですね。


毎月の学年別「森リン大賞」作品集森リンの丘 
 自動採点ソフト「森リン」で上位になった作文を掲載しています。
 しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。

作文教室受講案内   無料体験学習   作文講師資格 
Online作文教室 言葉の森  「特定商取引に関する法律」に基づく表示」  「プライバシーポリシー」 
お電話によるお問合せは、0120-22-3987(平日9:00-19:30)