創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
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二つの道 なまず
私が市場へゆく道は、いかにも自然発生的な細いやさしい道だ。ところが、その道は最近アスファルトがしかれてしまった。私がこどものころはいていた皮靴は、たいていどれもこれも爪先がけばだっていた。石けりをしながら歩くせいだ。もちろん舗装された道も場合によっては大切である。だが、道が一番道らしいのは、人間のくらしをあたたかに支え、いろいろなものを発見することのできるふみしめられた道である。この事だけは忘れてはならないのだ。(要約/構成)
僕にも、似た話がある。家の周りに道があるのだが、そこは土などひとつもない。もちろん、植物は生えていない。いつも当たり前のようにその道をとおり学校へ行くのだ。しかし、たまに祖父の家など行くと散歩の道に土がある。ごつごつしていて最初は嫌いだったけど、学校に行く道に比べてとても自然を感じる。植物も生えている。学校の道にこれくらい植物があったらいいなと思う。祖父の散歩の道では、
「これは、スミレだね。」
などと花の名前を教えてもらったりする。だから、とても自然に親しみやすい。それに比べて家の周りにはコンクリートの道しかない。だから、植物の名前なんて道路で覚えたことが一度もない。覚えたものといえば車の名前ぐらいしかない。どっちがいいかと言われても決めることはできないが、自然を大切にしたほうがいいというのは言える。しかし、家の周りにあるアスファルトの道は車も通りやすいからいい道であるのだろうとは思う。
もうひとつ、気になることがある。舗装によって生き物の住む場所が少なくなっていることについてだ。最近、お寺の中を歩いていたとき父が、
「昔は、ここにカニがいたのに、舗装なんてするからいまじゃ一匹も見られない。」とつぶやいていた。僕は、こんなところにカニなんていたんだと不思議に思った。そこは、コンクリートでできている、水が流れる場所だった。(聞いた話/題材)
昔はどうやら土があったそうだが、舗装をして土など入らず普通に水が流れる場所になったらしい。きっと、舗装したのには土が流れるのがよくないからなどの理由だと僕は思う。でも、カニの住む場所がなくなるというのは少しかわいそうだ。人間で言ったら、飛行場を作るので家を壊しますというようなものだろう。なんとひどい話だろう。カニの住む場所のことを考えになかったのだろう。仕方がないのだろう。一寸の虫にも五分の魂ということわざがあるが、このようなことわざを無視したようだ。やはり、仕方がなかったのだろう。(ことわざ/表現)
人間にとって道とは、人間のくらしをあたたかに支え、いろいろなものを発見することのできるふみしめられた道である。道によって、物事を覚えたり、道によって車など走らせる。しかし、いまの世の中はそれがまったく二つに分かれている。植物が生えている道もあれば、車だけ走って植物なんて視界にも入らない道だ。僕は、いつかこの両方が合わさってできる道を作ってほしいと思う。そうすれば、車も通ることができ、自然も大切にできる。そんな道ができたらいいなと思う。今日も、道路工事をしていた。人間のくらしを支え、いろいろなものを発見することのできるふみしめられた道、この事だけは忘れてはならないのだ。 (書き出しの結び/構成)(一般化の主題)
講評 kaki
【1段落目】
キーワードを意識した要約ができました。
【2段落目】
自分の家の周りの道を振り返ることができました。舗装されていない自然が残る道を歩くと、不思議と会話がはずむものです。
舗装された道の利点にもふれることができました。
【3段落目】
舗装された道がふえることによって生き物の棲む場所が少なくなってきていると、するどい指摘ができました。「人間で言ったら、飛行場を作るので家を壊しますというようなものだろう」と、人間に置き換えて考えてみたところがわかりやすかったです。「一寸の虫にも五分の魂」ということわざもぴったりです。
【4段落目】
「人間にとって道とは、人間のくらしをあたたかに支え、いろいろなものを発見することのできるふみしめられた道である」と、長文のキーワードをうまく取り入れて、まとめることができました。自然の道にも舗装された道にも利点がありますが、それをきちんと理解していることがうかがえる内容です。
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