創造と発表の新しい学力
総合選抜入試にも対応。探究学習を超えた、新しい創造発表学習。
AI時代には、知識の学力よりも、思考力、創造力、発表力の学力が重要になる。

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作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)

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   人と厳密な言葉   ニンジンスキー

 日本では虹は七色である。色は徐々に変化する。それを七つに分断する根拠はない。しかし、七色あると言われて見れば、七色に分かれて見える。だから、虹の色が二色であるという言語があるとすれば、その言語を使っている人には虹は二色に見えるのである。しかし科学はこれでは困る。我々の日常の世界では、コミュニケーションが成立すれば、イヌとは何か、ということが定義できなくとも、別に問題はない。しかし科学はパターンが人によって異なるのはあまりありがたくない。そこでパターンを固定しようと努力することになる。私は言葉を厳密に使う事は大切だと思う。
 その理由は第一に、人によってパターンが異なる言葉では、共通理解が出来ないからだ。私がテレビを見て気になったことだが、日本語ではニワトリの鳴き声を「コケコッコー」と言う。恐らく日本語を使う人は全員そう表現するだろう。しかし英語では「clook−a−doole−doole−doo」と言う。私たちにしてみればニワトリが「ドゥー」という濁音を発しているとは考えられない。逆に考えてみれば、英語圏の人にしてみれば、「コケッコッコー」なんて簡単な言葉でニワトリの鳴き声を表現する事に驚きだろう。しかし、ニワトリは同じニワトリ、鳴き声も同じ鳴き声である。けれどどうしてもお互いの表現する鳴き声に納得できない。なぜならば日本人は頭から鳴き声はコケッコッコ−だと思い込んでいるし、英語圏の人だって「clook−a−doole−doole−doo」だと思い込んでいるのだから、そうとしか聞こえないのである。人間は不思議で、イメージだけで感覚を作り出す事が出来る。例えば、叩かれるまねをされると
「痛いっ」
と口走ったり、なんだか空耳が聞こえたり。それら「思い込みの感覚」によって、言葉はまた保守的になっていくのだ。
 その理由は第二に、曖昧な言葉だと、誤解されてしまうからだ。例えば、興奮して「ぞくぞくする」と言ったのが、相手には風邪をひいて背筋がぞくぞくしているのかと心配されたり、将来の夢のつもりで「夢はない」と言ったら相手に人生の希望がないのかと心配されたり(笑)。言葉には一見厳密そうでけっこう曖昧な言葉がたくさんある。それらは人によって取る意味が違う。その意味の取り違えによって、誤解が生まれる事があるのだ。「日本語世論調査(2005.1〜2)(文化庁)」によると、いいか悪いか判断がつかなかった時に「ビミョ−(微妙)」という言葉を使う人は58%で、特に10代では96%を超えたらしい。このような曖昧な言葉は避けたほうがいいが、しかし、誤解も生まれない。このような言葉を良しとするか悪しとするかは人次第である。
 確かに曖昧な言葉もいい。しかし、「すべてに効くという薬は、何にも、たいして効かない」という名言のように、すべてに使えると言う言葉は、何にも、たいして意味をなさないのだと思う。だから私はその時々に応じた「特効薬」を使い分けていきたいと思う。

   講評   hira

 まとめで、「『特効薬』を使い分けて」とありましたが、ニンジンスキーさん自体このような書き方ができていますね。丁寧に相手を意識した厳密な言葉遣いで書けている。
■第一段落 ● 是非の主題
 「言葉を厳密に使うことは大切だと思う」と意見が述べられました。
■第二段落 ● 複数の理由 ◎ 体験実例
 おもしろい実例を自分の分析を加えながら丁寧に説明できています。同じものに対してもこれだけ、国によって認識が違うというのは改めて驚かされました。違って当たり前だからこそ厳密さが求められるのだろうね。
■第三段落 ● 複数の理由二 ● データ実例・長文実例 ◎ ユーモア表現
 ユーモアのある実例の書き方がいいな。データ実例の「ビミョー」。「人次第」など説得力のある内容でデータを上手く使いこなせているなあ。
■第四段落 ● 反対意見への理解 ● 名言の引用 ● 是非の主題
 「特効薬」言葉を厳密に使うことを実践で示したような例示だね。 
※表記 「〜こと」「〜もの」はひらがなで。

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