創造と発表の新しい学力
作文教室の丘から 小学生、中学生、高校生の作文 (編集)
小学1・2年生
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小学5・6年生
中学1・2・3年生
高校1・2・3年生
(作文) あほーどり
パァン、という乾いた音を合図にレースは始まった。
私の高校では、2年の秋には学年全員で多摩の市民マラソンに参加することが恒例行事となっていた。このころになるとかなり寒くなってくることもあり、生徒のほとんどは嫌がっていたり、面倒くさがったりしていたが、私は少し楽しみだった。中学の部活の合宿では異常なほどの距離を走らされて嫌にもなったが、そのような場合を除いては走ることは決して嫌いではなかった。
マラソン大会に向けて、体育の授業と放課後に長距離走の練習が行われた。このときにも、運動部に入っている生徒とそのほかの生徒、さらにその中でもやる気のある生徒、ない生徒と、はっきりと層ができてしまった。このような練習の場でがんばる、ということは、やる気のない生徒からなにをはりきっているんだ、という冷めた目で見られて浮いてしまい、私はあまりやらない。だが、この時はそのような目で見られる恥ずかしさよりも速く走れるようになりたいという思いのほうが強かった。同じように走っている人も何人かいたので、終了後に汗をかいていてもそれほど茶化されはしなかった。
大会当日は確かに涼しかったが、寒すぎるというほどではなかった。それよりも問題だったのは走路である。学校のグラウンドのように舗装された道ではなく、砂利が転り、草も生えていた。はじめは道にペースを乱されていたが、だんだんと慣れてきた。しかし、折り返し地点を少し過ぎたあたりから周りがペースを上げたのにつられて、自分のペースを乱してしまった。コースの四分の三あたりに差し掛かったあたりで、後ろから友人が追いついてきた。私が練習をがんばってきたのは、どうせ出なければいけない大会ならば、せめて友人たちに負けたくないと思ったという理由もあった。私はラストスパートをかけてその友人を引き離し、そのままゴールを果たした。
ゴールした直後は達成感などよりも、強烈な吐き気に襲われた。しばらくして落ち着き、ドリンクを飲みながら友人と話しているとやっと達成感を感じることができた。
人間にとって何かに一生懸命になるということは、それだけで自分を成長させてくれるものである。結果がどうあれ、努力したという事実に自信をもち、更なる向上を目指すことが大切である。
私は、大学に入ってから思い切り走る機会がなかった。今度は自分で、あのときのように風のように走る爽快感を味わう機会を作るのもいいかもしれない。
講評 hota
作文検定模試ではなく、通常の清書を送ってくれましたね。あほーどりくんは、まだ入会間もなく、課題があまり進んでいないので、確かに今回は少し模試の課題が難しかったかもしれません。年度末にいつも模試は実施されていますので、次回は是非挑戦してみてください。
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しかし、子供たちの実力はそれぞれ個性的です。上手に書けている子の作文を見せて、自分の子供の作文と比較しないようにお願いします。
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